エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1350
2023.10.27 更新
文:撮影・藤田 忠
実ゲームでのパフォーマンスもみていこう。テストには公式ベンチマークの「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」を利用し、解像度はフルHDに固定し、グラフィックス設定は“最高品質”、“高品質(デスクトップPC)”、“標準品質(デスクトップPC)”の3種類を選択している。
中量級ゲームタイトルだけあって、どのグラフィックス品質でも快適なプレイは厳しく、“標準品質(デスクトップPC)”でギリギリ「普通」となる4,000ポイント超え。それでも平均フレームレートは30fps台なので、かなりカクつきを感じる状態だった。コンシューマーゲーム機にも負けるので、CPU内蔵グラフィックスのIntel UHD Graphics 730でのゲームプレイはほどほどに、と言ったところだろう。
ベンチマークセッションの最後は、「DeskMini B760」で組むうえで気になるリテールクーラーの冷却性能や、動作音、消費電力を確認していこう。
まずはCore i5-13400のリテールクーラーの挙動を確認していこう。ストレステストには「CINEBENCH R23」を利用し、「HWiNFO64 Pro」でテスト中の各種数値を記録している。CPUの動作クロックは「P-core 0 Clock [MHz]」と「E-core 6 Clock [MHz]」。CPU温度は「CPU Package [°C]」、CPU消費電力は「CPU Package Power [W]」を抜き出してまとめている。
CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」だが、PL1 65W、PL2 78Wに抑えられているため、「P-core 0 Clock [MHz]」は4,090MHzまで引き上げられることもあるが、処理中は3,500~3,700MHzで推移している。「E-core 6 Clock [MHz]」も抑えられ、おおむね3,000MHzを切っている。
CPUコア温度の「CPU Package [°C]」は、CPU消費電力の「CPU Package Power [W]」が60~70W程度に抑えられているとは言え、最高で74℃を記録している。IntelリテールCPUクーラーのファンは、3,100rpm前後の最大回転数に達しているので、冷却性能に余裕があるとは言えないだろう。
テスト中の騒音値もチェックしたが、筐体から約60cmの位置で44.2dBAを記録している。数値的には室温騒音として会話には支障のないレベルとは言え、通気性能高いエアフロー重視の設計だけに、使用シーンに合わせて冷却と静音性のバランス良いファン回転数にカスタマイズすると良いかもしれない。
テストの締めくくりは、今回組んだ「DeskMini B760」マシンの消費電力を確認しておこう。起動後10分間何もせずに放置した状態をアイドル時、「CINEBENCH R23」と「3DMark」の「Night Raid Stress Test」実行時を高負荷時としている。システム消費電力の計測には、ラトックシステムのWi-Fiワットチェッカー「RS-WFWATTCH1」を使用している。
アイドル時は21.3Wを記録し、CPUがフルロードされる「CINEBENCH R23」実行時も、CPU消費電力は60~70W程度に抑えられているだけあって、システム全体でも109.9Wに収まった。また、CPU負荷が下がる「Night Raid Stress Test」では、最大78.8Wと低消費電力になっている。そもそもCPUが常にフルロードされるような用途に使うPCではないため、ここは問題ないだろう。
超小型ながらデスクトップ向けCPUを使って組めるとあって、鉄板人気となっている「DeskMini」シリーズ。最新モデル「DeskMini B760」もデスクトップCPUのパフォーマンスをしっかりと引き出している。従来モデルからのグレードアップという点では、ギガビットLANから2.5ギガビットLANへの変更に留まるが、第12世代~第14世代Intel Coreプロセッサを使った超小型PC自作の第一候補なのは間違いなしだ。
爆速となるPCI Express 5.0(×4)対応の次世代SSDに合わせたファン内蔵大型M.2ヒートシンクを組み合わせたり、M.2 SSDとWi-Fi 6対応モジュールの2段構成の冷却を考えたり、マザーボード基板裏面側のPCI Express 4.0(x4)の冷却方法を考えたりと、弄りがいもあるのも「DeskMini」シリーズの魅力なので、超小型PC自作を思いっきり楽しもう。
協力:ASRock Incorporation