エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1352
2023.11.03 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
「MAG CORELIQUID E360」には、標準の3分岐ケーブルに加えて、「Optional Fan Down Slow Speed Controller Cable」(以降:低速ケーブル)と呼ばれる低速回転用のファンケーブルが付属している。そこでテストセッションのラストはCore i7-14700KのPL1/PL2=125W設定時に低速ケーブルを使用した場合の冷却性能を確認しておこう。
低速ケーブルを使用しても、テスト中のPackage Powerや、動作クロックに変化はなし。またPL1/PL2=125Wの設定ではファンの回転数が低下しても冷却性能は飽和しているようで、いずれのテストでもCPU温度は標準の3分岐ケーブルを使用した場合と同じ60℃前後で安定していた。
ファン回転数は、アイドル時が900rpm前後から850rpm前後、高負荷時は1,300rpm前後から1,150rpm前後へと低下。高負荷時の騒音値も38dBA前後から35dBA前後に下がり、実際にテストをしていても明らかにノイズが小さくなったのが確認できた。静音性を重視するなら敢えてPower Limitを低めに設定して「MAG CORELIQUID E360」を低速ケーブルで運用するのもアリだろう。
人気の360mmサイズラジエーターを備えたMSI「MAG CORELIQUID E360」。約1ヶ月前にMSI「MAG CORELIQUID M360」を検証したばかりだが、折しもIntel Coreプロセッサが第14世代に代わったことで、MAG CORELIQUID M360は編集部の検証機材入れ替え後、初めてとなるオールインワン型水冷ユニットになった。
ここで今し方終えたばかりの詳細な検証結果を振り返るつもりはないが、前世代で検証した「M360」との直接比較はできないものの、「E360」は現行プロセッサには十分な冷却性能である事は証明できた。なかんずく360mmサイズラジエーターのAIO水冷で冷えなければ、そもそもひとつ下の240mmサイズラジエーター採用AIO水冷の立場はない。もっともそうならば冷却機器側ではなくプロセッサ側に問題アリと疑わなければならないだろう。
しかし矢継ぎ早に近しい製品をリリースするMSIの意図はやや分かりづらかったが、冒頭で触れた”コストパフォーマンスの「M360」、冷却パフォーマンスの「E360」”という仮説はおおよそ間違ってはいないようだ。解説セッションで詳しく触れたが、明らかに「E360」には外観からは分からないワンランク上の内部構造が採用され、論理的説得力もあった。両者には想定売価で7,000円の違いがあるが、ここはキチンと構造の違いを理解した上でチョイスしたい。
最後に冷却性能からは離れるが、組み込み易さは製品選びにおいて、非常に重要である事を付け加えておきたい。新規の組み込み時はもとより、換装時にその恩恵を感じることになる。洗練されたAIO水冷はパーツ点数が少ないだけに、取り外し作業も楽になる。組み替えや廃棄を考えて新製品を導入する人は少数かもしれないが意外に重要であり、「E360」は組み込み易く、外しやすい製品である事は間違いない。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社