エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1352
2023.11.03 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
ここからはパッケージから製品を取り出し、各部を詳しく見ていこう。なお今回検証するMAG CORELIQUID E360は、MSI「MAGシリーズ」に属するオールインワン型水冷ユニットだ。
MAGシリーズは「安定性と耐久性に優れ快適なゲーム体験を実現する、全ての方に向けたシリーズ」とされ、PCゲーマーを意識したイルミネーションや、魅せる要素として重要なヘッド部の装飾など、自作PCを楽しむユーザーに合わせた選択肢が用意されている。MSIではこの他に「MEG」「MPG」シリーズが存在し、新しいロゴデザインが2023年1月18日に発表。それぞれの特徴をもった製品群は今なお増殖中だ。
オールインワン型水冷ユニットでキモとなるのが、ウォーターブロックだ。MAG CORELIQUID E360を要約すると、銅製ベースと最適化されたマイクロチャネル設計、さらに三相モーターを採用し、受熱性能と高耐久性を特徴としている。これらをさらに細かく解説していこう。
CPUに接触する受熱ベースプレートは、実測で約47.5mm x 41mmの長方形。従来品からイマドキのCPUに合わせて表面積を拡大。目に見えない内部の精密加工によるマイクロチャネルは、0.1mm厚のフィン形状「micromachining skived fin」構造を採用。凸凹を受熱ベースプレート一体成形にする事で、受熱性能を高めている。
MAG CORELIQUID E360の冷却性能を大きく左右する「micromachining skived fin」構造 |
約47.5mm x 41mmの受熱ベースプレートは、普及価格帯のオールインワン型水冷ユニットに比べ明らかに肉厚。ベース部からの段差は実測で4mmもあり、CPUからの熱を素早く伝える表面積の拡大と合わせ、冷却性能を高めようとしている |
そしてポンプには耐久性が定評の三相モーターを採用。効率よく電気を送る事で、安定的な動作ができる。さらに長時間運転に向き、振動が少なく製品の長寿命化(ポンプ寿命200,000時間)を実現。ポンプ・モーターの回転数は3,000rpm±10%で、騒音値は平均で20dBAとされ、ポンプ回転数は「MSI Center」でカスタマイズもできる。
なお内部はラジエーターへの供給用冷却水と、水温が上昇した”処理水”の混合を防ぐよう個別のエリアに分け、素早い冷却サイクルを作り出しているのも特徴。エントリークラスのオールインワン型水冷ユニットとは異なり、MAG CORELIQUID E360がワンランク上の製品である理由は、この辺りにあるようだ。
ウォーターブロック側面の上段はポンプ用4pinコネクタ(PUMP_FAN)、下段はARGBコネクタ(JRAINBOW)用ケーブルが装備され、それぞれマザーボード上のコネクタに接続する。なおケーブル長はいずれも約300mm |
また魅せるPCを構築する要素のひとつとして、ウォーターブロックヘッド部にはARGBイルミネーション機能を内蔵。「時の流れや、日食の形状からインスピレーションを得た」というMSI独自の仕掛けは、なるほど角度によって三日月のように見える。さらに上部は最大270°まで回転が可能。MSIロゴが正しい向きになる「Rotatable Water Block」は、カチッと90°毎にポジションが決まり、操作感に対する気配りも感じられる。
実測で長さ400mmのチューブは、多層構造を採用。クーラント液の蒸発を防ぐ対策はもとより、強化メッシュプラスチックチューブにすることで耐久性の高さが特徴とされている。実際に触れてみると、固すぎず、柔らかすぎずといったところ。PCケースの限られた空間では、この柔軟性が重要で、特にウォーターブロック側に余計なテンションを掛けずに装着できる点は、運用における安心感にも繋がる。