エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1353
2023.11.05 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
続いてファンの回転数が2,200rpmで固定されるという「H:ターボモード」に設定した場合の冷却性能を確認していこう。なおPower Limitの設定はこちらもPL1/PL2=4,096Wでテストを実施している。
「OCCT 12.1.10」では、CPU温度、Package Power、CPUクロックとも「M:パフォーマンスモード」から大きな違いはみられない。「CINEBENCH 2024」でも、Package PowerやCPUクロックに大きな違いはないものの、100℃で張り付くシーンが減っており、回転数が上がったことによる冷却性能の違いはあるようだ。
「L:サイレントモード」の時と同じく、ファン回転数はほぼ公称通りとなる2,200rpm前後で安定して推移する。またノイズレベルは47dBA前後で、「M:パフォーマンスモード」から約2dBA上昇しているが、実際に聞いていてもその違いはよく分からかなかった。
テストセッションのラストは、サーモグラフィの結果をチェックしておこう。モードセレクトスイッチ付きケーブルの設定は「M:パフォーマンスモード」を選択し、Power Limitの設定はPL1/PL2=4,096Wでテストを行っている。
アイドル時のサーモグラフィ結果 |
高負荷時のサーモグラフィ結果 |
アイドル時、高負荷時ともフレッシュなエアが吹き付けるメモリスロット側のヒートシンクの温度のほうが低くなっている。また高負荷時には、ヒートパイプ部分の温度は明らかに周辺のヒートシンクより高くなっており、CPUから発生した熱がヒートパイプを伝って移動している様子も確認できる。
評価サンプルが編集部に到着して間もなく、妥協無き株式会社サイズ・S氏はPC COOLER(CPS)「RZ620」について、”気に入らない点”として3つを挙げていた。
自社オリジナル製品はもとより、取り扱う他社製品に対してもシビアな見方をするS氏の正直な感想だ。一見些細な事のように思えるが、PC COOLERの新ブランド展開「CPS」として新たに舵を切り始めた第1弾としては、もうワンランク上を目指す必要があると言う、いわばS氏の叱咤激励だろう。このようなフィードバックはメーカーを育てる上では重要で、ちっとも些細な事ではない。中国メーカーの台頭は、このような声にきちんと耳を傾けることで、近ごろ顕著なクオリティの高さに繋がっているように思う。
PC COOLERとしては今年5月に「K4」を検証しているが、普及価格帯路線からは対極にあるCPSをデビューさせた意図は、全体的なレベルアップだろう。そのスタートとしての「RZ620」は、評価基準として最も注目すべき「冷却性能」の高さを証明した。”冷やし方”そのものが違うオールインワン型水冷ユニットと比べても、遜色無しどころかそれ以上のパフォーマンスを見せている。任意の後付けではないデュアルファンクーラーは見た目もスマートで、力任せに冷やすといったイメージとは違った。
PC COOLERから名称を変更して誕生した「CPS」は、単なる既存の刷新ではなく、まったく新しいブランドが立ち上がったと見るべきかもしれない。
提供:PC COOLER(CPS)
株式会社サイズ