エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1361
2023.11.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて「V-Ray 5」ベースのレンダリングベンチマーク「V-Ray 5.0.2 Benchmark」の結果を確認しておこう。
元々Ryzenシリーズが得意としているベンチマークだが、Ryzen Threadripper 7970XでもRyzen 9 7950Xの1.7倍以上、Ryzen Threadripper 7980Xに至っては2.9倍に迫るスコアで、やはりメインストリーム向けCPUでは勝負にならない。
3Dモデリングソフト「Blender」の性能を計測する「Blender Benchmark 3.6.0」の結果も確認しておこう。レンダリングにはCPUを選択し、サンプルは「monster」「junkshop」「classroom」の3種類を使用した。
こちらも元々Ryzenシリーズが得意としているベンチマークだが、Ryzen Threadripper 7970XでもRyzen 9 7950Xに対して1.8倍以上、Ryzen Threadripper 7980Xに至っては約2.9倍~3.1倍という圧倒的なパフォーマンスを発揮する。
レンダリング系ベンチマークのラストは、レイトレーシングを使用するレンダリングソフトウェア「POV-Ray v3.8」のベンチマーク結果を確認していこう。
Windowsでは論理64コアを1つの「プロセッサーグループ」として扱うため、基本的に1つのアプリケーションで活用できるのは64スレッドまでになる。ここまでチェックしてきたソフトウェアは、独自に「プロセッサーグループ」の制限を解消しているため、コア数に応じてマルチスレッド処理性能は向上していた。しかし、「POV-Ray」は最新バージョンの「POV-Ray v3.8」でも「プロセッサーグループ」の制限を受けるため、64スレッドまでしか利用できず「ALL CPU’s」のスコアはRyzenThreadripper 7980XとRyzen Threadripper 7970Xで横並びになってしまった。
実際、Ryzen Threadripper 7980Xなど32コア(64スレッド)を超えるCPUを使う場合は、自分が使用するアプリケーションが「プロセッサーグループ」の影響を受けないかあらかじめ確認をしておこう。
Windowsでは基本的に「プロセッサーグループ」の壁があるため、1つのアプリケーションで有効に活用できるのは32コア/64スレッドまでになる |
CG系の一部など、「プロセッサーグループ」の制限を独自に解消しているソフトウェアなら全てのコアを有効に活用できる |
続いて、実際にAdobe PhotoshopやAdobe Premiere Proのアプリケーションを使い、クリエイティブな処理性能を確認できる「UL Procyon」ベンチマークの結果をチェックしていこう。プリセットには画像処理性能を測定する「Photo Editing Benchmark」と、動画処理性能を測定する「Video Editing Benchmark」の2種類を使用している。
まず「Photo Editing」の結果を確認すると、元々Intel系のCPUが得意としていることもあり、トップを獲得したのはCore i9-14900K。またRyzen系のCPUではその差は最大でも約2%しかなく、今回検証したCPUならどれを選択してもほぼ同等の性能を発揮する。このことから、クリエイティブな作業でも画像処理が中心であればわざわざHEDT向けCPUを使用する必要はないだろう。
続いて「Video Editing」の結果を確認すると、Ryzen Threadripper 7980X/7970XがRyzen 9 7950Xに対して約24%、Core i9-14900Kに対しても10%以上高いスコアを記録した。「プロセッサーグループ」の影響で、Ryzen Threadripper 7980X/7970Xの間では大きな差はついていないが、大量の動画を処理をするのであればRyzen Threadripper 7970Xを選択するメリットは大きい。