エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1361
2023.11.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
Ryzen Threadripper 7000は、4chのメモリに対応するためメインストリーム向けCPUに比べて広いメモリ帯域が期待できる。そこで今回は「Sandra 20/21:メモリーの帯域」を使い、気になる帯域をチェックしてみることにした。
今回はすべてのCPUでメモリスピードを6,400MT/sに設定して検証を行っているが、Ryzen Threadripper 7980X/7970Xは、Ryzen 9 7950Xの約2.7倍、Core i9-14900Kとの比較でも約2倍で、4chの効果がしっかりとスコアにも表れている。
クリエイティブ系のベンチマークやメモリ関連のベンチマークが一段落したところで、ここからはWebサイトの閲覧やビデオチャット、オフィスアプリケーションなどの総合的なパフォーマンスを測定する「PCMark 10」の結果を確認していこう。
「PCMark 10」では、元々シングルスレッド処理性能の影響が大きいこともあり、「Digital Content Creation」ではRyzen Threadripper 7980X/7970XともRyzen 9 7950Xに約13%の差をつけられている。またRyzen Threadripper 7980Xでは、CPUの最大クロックが低めということもあり、「Essentials」や「Productivity」でも、その他のCPUに差をつけられている。一方で、Ryzen Threadripper 7970Xは最高5.6GHzまでクロックが上昇することもあり、「Essentials」や「Productivity」ではRyzen 9 7950Xとほぼ同等のパフォーマンスを発揮した。
続いて、定番3Dベンチマーク「3DMark」を使いグラフィック系の性能を確認していこう。まずはレイトレーシングの他、メッシュシェーダーや可変レートシェーディング、サンプラーフィードバックなどの機能を備えた最新API DirectX 12 Ultimateを使用する「Speed Way」の結果を確認していこう。
テスト項目が「Graphics test 1」しかない「Speed Way」では、グラフィックスカード以外の影響はないようで、スコアはいずれのCPUでも横並びになった。
続いてAPIにDirectX 12を使用するラスタライズテスト「Time Spy」のスコアを確認していこう。なおプリセットには「Time Spy」と「Time Spy Extreme」の両方を使用している。
CPU、GPUとも負荷の高い「Time Spy Extreme」では、Ryzen Threadripper 7980X/7970XがCore i9-14900KやRyzen 9 7950Xを約4%上回るスコアを記録した。ただし、「Time Spy」ではRyzen Threadripper PRO 5000 WXの時と同じく、グラフィックスカードのクロックが上がりきらない症状が発生し、Ryzen 9 7950XやCore i9-14900Kに対して大きくスコアが落ち込んでいる。
本来GPUクロックが2,400~2,500MHzまで上昇するRadeon RX 7800 XTだが、Ryzen Threadripper 7000で「Time Spy」のテストを実行すると2,000MHz前後までしか上がらなかった |
続いて、APIにDirect X11を使用する「Fire Strike」のスコアもチェックしていこう。こちらもハイエンド環境ということを考慮して、「Fire Strike」「Fire Strike Extreme」「Fire Strike Ultra」の3種類のプリセットを選択した。
GPUの負荷が高い「Fire Strike Ultra」ではスコアはいずれもほぼ横並び。「Fire Strike Extreme」ではGPUクロックは大きく変わらないものの、メニーコアCPUへの最適化があまり進んでいないこともあり、Ryzen Threadripper 7980X/7970XではRyzen 9 7950XやCore i9-14900Kに比べると1割強スコアが低下している。そして「Fire Strike」では、「Time Spy」と同じくGPUクロックが2,000MHz前後までしか上がらない症状が発生してスコアが伸び悩んだ。