エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1365
2023.12.02 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
現代のPCケースの特徴として挙げられるのは、「内部容積が広い」と「ストレージ収納力が高い」が必ずしもイコールではない、と言うこと。ストレージ収納力を上げるために筐体を大型化させていた時代は終わり、例外なくDARK BASE PRO 901も必要最低限の装備でまとめられている。
中でもメインとなるのが、ボトムカバー(シュラウド)内部前方エリアにある、ケージタイプのシャドウベイユニット。ここにドライブケージが2個収納されており、それぞれに3.5インチHDDが1台、または2.5インチSSDが2台マウント可能。構成により3.5インチHDDは計2台、または2.5インチSSDは計4台が搭載できる。
ドライブケージはハンドスクリュー1本でシャーシに固定。素材はスチールが採用され、搭載方法は3.5インチHDDの場合、両側面にある2つのレバーによりHDDのネジ穴をロック。合計4箇所をツールフリーで固定できる。一方2.5インチSSDは、ドライブケージの天板と底板それぞれにベタ置きしてSSD底面4箇所のネジ穴を使い、ミリネジで固定する事になる。なおコネクタの向きは、いずれも右サイドパネル側に向ける事になる。
トレイならABS樹脂製のところ、ボックス形状のドライブケージだけにスチール製を選択。出し入れの際は多少ガチャガチャするが、しっかりと固定できる安心感は感じられるのではないだろうか |
スチール製のドライブケージは、搭載ポジションの変更ができる。場所はマザーボードトレイ右手のサイドパネルで、5枚装着されているABS樹脂製のカバーの裏には、5箇所のドライブケージ固定スペースが隠されていた。搭載箇所は任意だが、隣接するフロントファンからのエアフローの恩恵により、ストレージ自体を冷却できるメリットがある。ただしグラフィックスカードの延長線上にあるため、場合によっては構成パーツにより、搭載ポジションに制限が出るかもしれない。
一方で、なぜドライブケージを移設できるようにしているのか。ひとつは後に解説するボトムファンの増設だ。ケージタイプのシャドウベイユニット部は全てを取り払うことで、その”空き地”に冷却ファンが設置できる。これを選択する場合の移設先がサイドパネル部というワケだ。さらにフロントパネル裏に長尺ラジエーターを増設する場合も、シャドウベイユニットが邪魔になる。360mmサイズ以上のラジエーター設置時は、必然的にドライブケージは移設しなければならない。
ドライブケージは背面から1本のハンドスクリューで固定。ストレージのコネクタは背面側になるため、特にSATAケーブルは小型コネクタ、またはL字タイプを使用するなど、ケーブルマネジメントに多少の配慮が必要 |
CPUクーラーメンテナンスホールの開口部下の空きエリアには、2個のSSDブラケットを装備。ここにはコネクタを下向きに、2台の2.5インチSSDが搭載できる。SSDブラケットはスチール製で、2.5インチSSDの背面ネジ穴4つを利用し、ネジ留めする仕組み。シャーシへの固定はハンドスクリュー1本で賄われていた。
大型PCケースの恩恵とも言えるのが、最下段にある5.25インチ・セミオープンベイの存在だろう。フロントアルミニウム製パネルの下には”隠し扉”ならぬ開閉ドアが用意されており、ここを開くと5.25インチオープンベイの開口部が出現する。設計段階から除外される事が増えた5.25インチベイだが、ほそぼそと光学ドライブの新製品もリリースされている事から、一定の需要はまだあるはず。DARK BASE PRO 901は内部容積を生かし、ここに光学ドライブの搭載スペースを設けた。
なおこれを活用するにはやはり、ケージタイプのシャドウベイユニット部は解体しなければならない。サイドパネル部へのドライブケージ移設に2つの理由を解説したばかりだが、もうひとつ移設可能とした理由が増えた格好だ。
光学ドライブの固定には付属の「ODD bracket」を利用。作業にはボトムカバーの左側面を一度取り外し、左手からネジ留めを行う必要がある |