エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1365
2023.12.02 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
CPUクーラーには、オールインワン型水冷ユニットを選んだ。搭載テストには360mmサイズラジエーターを採用するbequiet!「SILENT LOOP 2 360mm」(型番:BW012)を用意。ラジエーターが搭載できるのは(1)トップ、(2)フロント、(3)サイド(マザーボードトレイ右横)の3箇所だが、本稿ではトップパネルへの固定を試みた。
搭載のし易さについて、ほとんどはオールインワン型水冷ユニット側の問題だが、広い内部容積だけに作業はスムーズに進行。特に冷却ファンブラケットは4本のハンドスクリューで固定されているため、取り外した状態でラジエーターの搭載作業ができる。この仕掛けだけでずいぶんと負担が軽減できている。
ただし1つ注文を付けるならば、ラジエーターの搭載位置が中央寄りになっている点は要改善だろう。幅254mmもある筐体だが、ラジエーターとマザーボードのお互いが窮屈に見える。冷却ファンブラケットのスリットは左側面側にオフセットされているが、ポゴピンが左端ではなく中央寄りに位置しているため、自ずとセンターのポジションが軸になっている。
ポゴピンをできる限り左サイドパネル側に寄せ、搭載したラジエーターおよび冷却ファンが、マザーボードより離れた位置に設置できれば完璧だったが、ここはマイナスな点としてお伝えしなければならない。
グラフィックスカードには、大型PCケースDARK BASE PRO 901に相応しい、NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を用意した。カード長304mmで、幅137mm。カード厚は61mmの3スロット専有デザインは真のハイエンドだ。
搭載方法は必要分の拡張スロット金具(ここでは3段)を外し、グラフィックスカードを装着してネジ留めするだけ。極めて一般的な手法で、固定に際しての特別な仕掛けはないが、ここで活用するのが付属の「VGA Holder」。側面から長尺&重量級グラフィックスカードを支えるサポートホルダーで、これを使わない手はない。
GeForce RTX 4090 Founders Editionからフロント標準搭載ファンまでの距離は実測で約180mm。公称有効スペースは495mmだから若干のズレはあるものの、これだけ広く割かれた居住空間に目くじらを立てる必要もないだろう。やや大ぶりなVGA Holderも位置を調節するだけで簡単に搭載ができ、さらに確実に役割を果たしている。
今年も約1ヶ月を残し、複数のPCケースレビューが予定されてはいるものの、恐らく2023年度最も”大掛かりなPCケース”だろう。カラの状態で重量16.3kgと聞き、評価サンプルの到着前から腰が引けていた筆者だが(単なる腰痛持ちという話もある)、重量級の筐体はありとあらゆるギミックが詰め込まれていた。
どれほど詰め込まれているかと言えば、マニュアルに書ききれないほど。やや大げさに聞こえるかもしれないが、実際にマニュアルに記載されていない事が多く、検証作業の手が止まる事があった。多少やり過ぎ感は否めない部分もあり、結果難易度は「高」を付けざるを得ない。ただしフツウに組み込むだけなら、特別なスキルまたは経験値は必要とせずPCは完成する。なんとも不思議なPCケースだ。
とは言え、見どころが満載である事は間違いない。近頃では希な「マザーボードのレイアウトが変更できる設計」を軸に、とにかくあらゆる構成パーツの取り外しができる。それもリベット固定が大半の量産型PCケースとは違い、多くはネジ留めとツールフリーによる着脱式を採用。バラバラにしてもキチンと元通りになるのは、設計が良いからだろう。カチカチッとハマる感じは立体パズルにも似て、根気と集中力が必要。ただし完成した達成感は、フツウに組み込むだけの後味とは全く違う。DARK BASE PRO 901の良さはココで、実際に体験した人でなければ分からない。
ともあれ、なかなか油断ならないフルタワーPCケースだった。
提供:be quiet!
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