エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1369
2023.12.15 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはIn Win「DUBILI」の外観デザインからチェックをはじめよう。既にご案内の通り、DUBILIはごく普通のPCケースではない。デザインの善し悪しは好みの問題が大部分を占めるため、見た目の事実のみをお伝えするが、構造を含め細部に目を配ると、In Winが示す製品コンセプトや、DUBILIに込められた設計者の意図、ひいては完成度の高さが鮮明になってくる。
なお検証に用意したシャンパン・ゴールド色だが、実際には単色ではなくパーツにより濃い部分と薄い部分の2つに大別できる。本稿では前者をブロンズゴールド、後者をシャンパンゴールドとして解説を進めていく。
ここでDUBILI共通となる主要パネルおよびフレーム部の固定方法を把握しておきたい。まず一般的なPCケースは大量生産品であり、構造を司るフレームや分解が不要な部分はリベットにより固定されている。一方、DUBILIはあくまでモジュラー部品版がベースだけに組み立て方法は共通で、中でも象徴的なゴールドのスチール製「iBuild レーザー彫刻ネジ」が要所で数多く使われている。
フロントや両サイドパネル、さらにU字型のアルミフレームを外す際は、一切ドライバーを使用しない。この辺りからも、DUBILIが量産型PCケースとは一線を画した「クラフトマンシップ」を自称する由縁でもある。
ひと際輝くゴールドの「iBuild レーザー彫刻ネジ」。ちなみにモジュラー部品版では実に32個が付属し、ボディ全体で使用されている事を裏付けている |
「iBuild レーザー彫刻ネジ」は付属の「L型六角レンチ」使用が基本。シャーシの要となる部分でもしっかりと固定する事ができる |
組み立て済みケース版も外観を大きく変える2つのモードに変更ができる。ここは見映えを重視する人にとって重要な要素だ。出荷時のDUBILIは「フィートモード」と呼ばれるスタイルで、幅約50mmのU字型アルミフレームを付け替えることで、「ハンドルモード」に姿を変える。
これは完全に使いによる好みの問題。ここで見た目からの善し悪しは決められないが、天板をスッキリさせたいならフィートモードだし、空の状態でも15.5kgにおよぶ筐体だけに、ハンドルモードによる移動のし易さはメリットだろう。
なお幅約50mmのU字型アルミフレームは、上下各2本のiBuild レーザー彫刻ネジで固定され、これを上下逆さまに取り付けるだけでモード変更ができる。とは言え、ガッツリ構成パーツを組み込んだ後では、この付け替え作業は難儀だろう。できれば組み立て前にスタイルを決めておきたい。
幅約50mmのU字型のアルミフレーム。カラーはブロンズゴールドで、iBuild レーザー彫刻ネジ計4本で固定される |
U字型のアルミフレームを外した状態。フロントパネル、シャーシ前面パネルの前2層と、強化ガラス製サイドパネル間には隙間がある |
ハンドルモードに付け替えた場合、新たに付属の台座「フットスタンド」(ABS樹脂製)を「S5 フットスタンドネジ」で固定する。なお設置面にはゴム製「フットパッド」を4箇所に埋め込むように貼り付ける |
ここでフィートモードからハンドルモードへ変更した場合に起きる「疑問」について触れておこう。組み立て済みケース版のU字型アルミフレームを上下逆さまに付け替えると、フィートモードからハンドルモードに変更できる。その外観は一層アレに似てくるワケだが、モードを変えるとU字型アルミフレーム上部にはフットパッド(滑り止めゴムクッション)が露出する事になり、これをやや微妙に感じる人は少なくないだろう。
床に設置しない面にフットパッドは実用的ではないし、美観を損ねる要因にもなりかねない。ちなみにフットパッドのサイズは幅約20mm、長さ約40mm、厚さは約3mm |
これについて、国内代理店の株式会社アユート担当者に聞いてみたところやはり意見は共通で、見解としては「外して問題ない」という回答だった。もちろん任意であり、強力な両面テープで貼り付けられているため、一度剥がしてしまうと再生は難しくなる。最も再度フィートモードに戻す場合は、市販の両面テープを用意すれば済むこと。本来の役割としては不要となるフットパッドは外してしまおう。
ハンドルモードへの変更で新たに設置されたフットスタンド。こちらには付属のフットパッドを装着しておこう |