エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1369
2023.12.15 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にストレージ収納力について解説しよう。DUBILIは主にマザーボードトレイ背面のスペースを活用し、合計4枚の専用ブラケットがハンドスクリューで固定。トレイ背面をフル装備状態にしてみると、なるほど重量のある3.5インチHDDはボトム側に集約、軽量な2.5インチSSDはフロント寄りの縦列にレイアウトされている。
合計4枚の専用ブラケット。「大」(左)は3.5インチおよび2.5インチ兼用、「小」(右)は、2.5インチ専用で、いずれも底面からの4点ネジ留め式が採用されている |
3.5インチHDDは最大2台までが搭載可能。かつてはストレージの主役だったが、2タイプのSSDが主流となった今では、最大搭載可能数を競うような事が無くなった。なお専用トレイは2.5インチSSDも搭載可能。チョイスによっては専用トレイを無駄にすることなく、3.5インチHDD無しのシステム構築もできる。
ボトム付近に横置き設置される3.5インチHDD。コネクタは右エリアは左向き、左エリアは右向きにマウントすることになる |
マザーボードトレイ背面のフロント寄り縦列には、2台分の2.5インチSSD専用ブラケットが装備される。コネクタは上段が下向き、下段が上向きにそれぞれ設置し、隣接するグロメット付きスルーホールを利用して、SATAケーブルの配線を行う。
設置作業に関しての注意事項は別段無いが、マザーボードトレイに対してベタ置きに近い状態になるため、SATA電源コネクタはL字よりもストレートタイプの方が接続がしやすい。またSATA(データ)ケーブルもコネクタはストレートタイプがいいだろう。搭載時に接続ができても、サイドパネルを閉じれば狭い空間になる事を覚えておきたい。
マザーボードトレイ裏配線スペースを利用したストレージ搭載方法は、決してIn Winのアイデアではない。しかし保守的とも言えるスタイルだけに留まらないのがDUBILIだ。付属品の多機能ブラケット「モジュラー式ケーブルシールド」は、2.5インチSSDが2台搭載できる。使い方はこうだ。
シャンパンゴールドに塗装された、スチール製の多機能ブラケット「モジュラー式ケーブルシールド」は計2枚が付属。複数の穴が設けられた1枚板は、都合2回の曲げ加工が施されている |
ひとつは、電源ユニット搭載エリアに2つのネジ穴があり、モジュラー式ケーブルシールドを付属の「S5 ケーブルシールドネジ」2本でスタンドスタイルで固定。底面4本のネジで固定した2.5インチSSDを強化ガラス製サイドパネルに正対した格好でマウントできる。横幅244mmを有効に活用した搭載方法だ。しかしここでは1台分しかモジュラー式ケーブルシールドが設置できない。
そして付属数2枚を最大限に活用できるのは、マザーボードトレイ右側のエリアを利用した、縦列2枚設置だ。ここでもS5 ケーブルシールドネジを利用し、マザーボードトレイに設けられたネジ穴に固定。これなら2.5インチSSDが2台搭載できるというワケだ。
ちなみに多機能ブラケットの名称が「モジュラー式ケーブルシールド」なのは、電源ユニットの横、またはマザーボードトレイ右側に設置すると、いずれもケーブルを隠す盾のような役割を果たしている。特に後者は、グロメット付きスルーホールに被さり、裏配線スペースと表面スペースを行き交うケーブルをシールドする格好になる。SSDの搭載とケーブルのシールド、2つの役割を1つに集約させる考えは、合理的なIn Winらしさが表れている。
拡張スロットは全8段。フルタワーとしてはおとなしく、標準的なミドルタワーよりも1段多い。独立した拡張スロット金具はハニカム状の通気孔仕様で、1枚毎にインチネジで固定。拡張カードの搭載スタイルは水平のみで、VGAクーラーが左側面に正対する垂直マウントには対応していない。
電源ユニットの有効スペースは奥行き最大180mmまで確保されている。多くのPCケースが採用するボトムカバーが無く、強化ガラス製左サイドパネルから丸見えの状態になるスタイルは久し振りに見る光景ではないだろうか。ただ「モジュラー式ケーブルシールド」を目隠し変わりに設置すれば、ケーブル類の一部は隠す事ができる。パーツ名が「シールド(shield)」だけに、盾のような役割を果たすというワケだ。
ボトム面の電源ユニット搭載スペース。設置面にはクッションゴムが貼り付けられている |