エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1380
2024.01.09 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム系のベンチマークが一段落したところで、消費電力を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「Cinebench 2024:30 minutes」実行時の最高値を採用している。
アイドル時の消費電力は、いずれも省電力機能が働くため60W前半で横並びになる。また高負荷時の消費電力を確認すると、Core i5-14400とCore i5-13400ではクロック上昇率が大きくないこともあり、消費電力の差も約8Wとごくわずか。またCore i7-14700とCore i7-13700ではEコアが増えていることもあり約50Wと大幅に増加している。Core i7-14700を無制限設定で動作させる場合には、電源ユニットはもちろん、マザーボードも電源回路が充実しているものを選択したほうがいいだろう。
Core i7-14700に付属するリテールクーラー「Laminar RM1」。高さは47mmしかなく、スリムPCケースにも余裕を持って搭載できる |
テストセッションのラストはCore i7-14700に付属していたリテールクーラー「Laminar RM1」の動作を確認しておこう。なおストレステストにはこちらも「Cinebench 2024:30 minutes」を使用している。
Core i5-14400については、CPUクーラーに関係なくPackage Powerは最高100W前後までしか上がらなかった。CPUのPackage温度もリテールクーラーで最高95℃、「Cinebench 2024」のスコアにも大きな違いはないことから、Power Limitを無制限にしても冷却性能が不足することはないだろう。
続いてCore i7-14700の結果を確認するとMSI「MAG CORELIQUID E360」では、Package Powerが300Wを超えるのに対して、リテールクーラーでは半分以下の130W前後で頭打ちになる。ちなみに「Cinebench 2024」のマルチコアテストのスコアは8割前後を維持できており、ワットパフォーマンスを重視するならPower Limitを130W前後に設定してリテールクーラーでの運用を、限界まで性能を引き出す場合には360mm以上のラジエーターを搭載する水冷ユニットを使い、無制限設定にするがおすすめだ。
第14世代Intel Coreプロセッサがもともと第13世代Intel Coreプロセッサの“Refresh”モデルということもあり、技術的に大きなアップデートがなかったのはご存知の通り。
そんな中にあって、今回チェックしたCore i7-14700は、先行で発売が開始されたCore i7-14700Kと同様Eコアが増加したことで、マルチスレッド性能は先代から最大約20%と大幅に向上している。レンダリングや動画のエンコードといったマルチスレッドに最適化された処理には特に効果的で、ゲームをプレイしながら同時に配信するといった並列処理を行うユーザーにとってはとても魅力的な製品になるだろう。
事前情報によるとCore i7-14700の初回販売価格は税込72,000円前後の見込み。発売から3ヶ月が経過しているCore i7-14700K(初回販売価格税込79,000円前後)とは現時点で価格が逆転しているが、今後こなれてくればCore i7-14700Kより安価に購入できるようになるはずだ |
さらにPower Limitをある程度制限する必要はあるが、リテールクーラーでの運用でも高いマルチスレッド性能を維持できるのも大きな魅力のひとつ。CPUクーラーの高さが制限されるスリムPCケースを使用した場合でも高性能なPCを構築することができる。
一方、Core i5-14400については、CPUコアの構成が第12世代Intel Coreプロセッサの「Golden Cove」+「Gracemont」のままで、クロックアップによる効果も2%弱とそれほど大きくなかった。価格がCore i5-13400と同程度に下がるまでは、Core i5-14400を積極的に選択するメリットはあまりないだろう。