エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1391
2024.02.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはC8の内部構造をくまなく見ていこう。改めて資料を確認すると、C8の基本構造は「デュアルチャンバー」。向かって左側のエリアにはCPUやグラフィックスカードといった主たる熱源、右側のエリアにはストレージおよび電源ユニットのスペースに割り当て、前面が密閉状態になるエアフローの弱点を補う設計がC8の特徴と言える。
そしてこのチャプターでは、フロントと左サイドパネルに強化ガラスを使ったピラーレスデザインPCケースの冷却構造や、各構成パーツの居住性、さらにパーツ同士の距離感なども詳しく解説していきたい。
おさらいすると、C8はE-ATX(280mm)、ATX、MicroATX、Mini-ITXの各マザーボード規格に対応する。そしてマザーボードトレイを確認すると、出荷時よりスタンドオフ(台座)が合計9本装着済みで、うち中央の1本(2列目中段)は段差付きスタンドオフを採用。マザーボード固定時の位置決めに役立つ。
改めて左開口部から内部を眺めると、C8にはボトムカバーが無い分、マザーボードの搭載スペースは広く確保できている事が分かる。右手にはサイドファン用のスペースがあるものの、左右幅があるのでそれほど気にならない。
ここからはC8の冷却性能(エアフローレイアウト)にスポットを当てて行く。C8は「VERTICAL COOLING AIRFLOW」をキャッチに掲げ、冷却性能にやや不安なイメージがあるピラーレスデザインでありながら、高冷却をアピール。360mmサイズラジエーターの設置スペースを合計3箇所確保するなど、広い内部容積を生かした設計をポイント別に解説していく。
フロントパネルは強化ガラス素材で密閉されている分、これを補うように右側面の前方寄り縦列には、サイドファン搭載スペースが確保されている。120mmファンなら3基、140mmファンなら2基が増説可能で、ラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズをサポート。固定面を境界にマザーボードトレイ表面55mm、裏面45mmの合計100mm厚が確保されている。
冷却ファンはフレッシュな外気を取り込む吸い出し方向への設置を推奨。ARGB等のLEDファンを選べば、強化ガラス製左サイドパネルと正対し、イルミネーションによる効果的な装飾もできる。なおスリット幅は約70mm |
トップパネルを外して天板部分を見ると、複数のスリットタイプのネジ穴が確認できる。ここには120/140mm x3基または160mm x2基の冷却ファンが増設可能。ラジエーターは右サイド同様、120/140/240/280/360mmサイズがサポートされる。
CPUソケットに近く、水冷構成では冷却面で最も有効なポジションとあって、ここに多くの人がラジエーターを設置することになるだろう。内部が広く、フロントと左サイドの両パネルが開放状態にできるため、搭載および配線作業は容易に進められそうだ。
トップ面内側には厚さ70mmまでの設置スペースが確保されている。なおスリット幅は約65mmと広く確保されている |
ちなみに現時点、選択肢が非常に限られている160mmファンの増設もサポート。先に検証を行った「NX416L」ではフロント部に160mm ARGB Antec Custom Fanが2基標準装備されていたが、C8は標準装備が見送られている。
通常排気方向への設置となるリアファンもオプション扱い。ここには120mmまたは140mmファンが1基増設可能。ラジエーターは120mmサイズのみが設置できる。固定穴はスリットタイプで、スリット幅は実測で約25mmだった。
通気孔は三角形に打ち抜いた組み合わせで、拡張スロット金具、その左側の空きエリア共に同じデザインで統一されている |
大きくカットされ、まるで底が抜けたような状態のボトム部には、120/140mmファンが3基、または160mmファン2基が増設可能。ラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズが搭載できる。つまりボトム面はトップ面と完全一致で、C8が主張する「VERTICAL COOLING AIRFLOW」を構成する重要なエリアと言えよう。
ここで気付くのは「VERTICAL COOLING AIRFLOW」のエアフロー方向が示す通り、内部は正圧状態だけにボトム面には大判のダストフィルターが装備されているが、トップ面には目の細かい通気孔(パンチングメタル)のみで用が足りるという解釈だ。C8が描く理想的なエアフローレイアウトに従うなら、ボトム面をそのままにしておくという選択は無い。
出荷時に装備されている「140mm FAN MOUNTING ADAPTER」は合計4本のネジで底面に固定されている。なおラジエーターを含めボトム面の有効スペースは135mm厚とされる |
ボトム面に120mmファンを搭載するなら付属の「120mm FAN MOUNTING ADAPTER」に換装することになる |
ちなみに増設がサポートされる160mmファンについてAntecに確認したところ、「160mmファンの単体販売の予定は無い」と言う。今後状況が変わる可能性はあるものの、現時点C8に160mmファン増設のアドバンテージは全くない事になる。ここは些かちぐはぐな印象は避けられない。そもそも各国のブランチからの強い要望から生まれたAntecのピラーレスデザインPCケースだから、同じく単体発売の声が大きくなればメーカーを動かす事は十分にあり得る。ここは期待して待とう。