エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1395
2024.02.23 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
MSI独自配線技術「Memory Boost」や表面実装技術SMTの採用により、最高7,800MHzまでの高クロックメモリのサポートが謳われている「MPG Z790 CARBON WIFI II」。そこでテストセッションのラストは、DDR5-6000駆動のCrucial「CP2K24G60C48U5」に加え、DDR5-8000駆動のKLEVV「KD5AGUA80-80D380G」を使い「Memory Try It!」で、「DDR5-7800 CL38」の設定を選択した状態で動作を確認してみることにした。
今回はDDR5-6000(左)、DDR5-7800(右)とも動作に問題はなかった。ただし、DDR5-7000後半のメモリはCPUやマザーボードの相性がかなり厳しくなる。実際に購入する際には相性保証のあるショップで購入することを強くオススメする |
Crucial「CP2K24G60C48U5」の定格動作(DDR5-6000)、KLEVV「KD5AGUA80-80D380G」のDDR5-7800 CL38動作ともOSの起動は問題無し。またSiSoftware Sandraのメモリ関連テストもクリアすることができた。ちなみに「メモリーの帯域」を確認するとDDR5-4800との比較ではDDR5-6000でも約17%、DDR5-7800では50%以上のパフォーマンスが向上。さらにDDR5-7800動作では「メモリーのレイテンシ」も大きく低下している。
CPUの影響が非常に大きい「Cinebench 2024」だが、シングルコアテストではDDR5-4800に比べてDDR5-7800では約3%スコアが向上している。ただし、マルチコアテストについてはその差は2%未満で、「Cinebench」によるレンダリングではメモリクロックにそれほどこだわる必要はないだろう。
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」(グラフィックス設定“最⾼品質”)では、メモリスピードよりもメモリレイテンシの効果が大きくDDR5-4800とDDR5-6000ではほとんど差が無いのに対して、DDR5-7800では4K解像度で約3%、WQHD解像度やフルHD解像度では約8%と大きな差がついた。
続いて「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」(「総合品質」は“最高”)の結果を確認していこう。こちらはいずれの解像度でも差はなく、メモリスピードやレイテンシの影響はないようだ。「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」で性能を重視するなら、グラフィックスカードやCPUに投資をするのがオススメだ。
映画「アバター」シリーズをベースにしたオープンワールドゲーム「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」(「グラフィック品質」は“ウルトラ”)の結果を確認しておこう。こちらはメモリスピードが速くなるにつれてフレームレートが向上しており、DDR5-4800とDDR5-7800の比較ではいずれの解像度でも約5%の差がついている。
最後に重量級のゲームとして知られるオープンワールド型アクションRPG「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」(「クイックプリセット」は“レイトレーシング:ウルトラ”)の結果を確認しておこう。スコアの傾向は「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」に近く、DDR5-4800とDDR5-7800の比較では約5~6%の差がついた。
MSIのゲーミングマザーボードとしては“アッパーミドル”に位置づけられる「MPG Z790 CARBON WIFI II」。しかし、105A SPSによる19+1+1フェーズの強力な電源回路やヒートパイプを内蔵した大型の拡張ヒートシンク、サーバーグレードの8層PCBなど、基本スペックについては正直アッパーミドルクラスの範疇を超える充実した構成だ。
実際のテストでもCore i9-14900Kの定格動作はもちろん、Package Powerが350W超える過酷な状況でも安定した動作を実現しており、CPUの持つ能力を存分に引き出すことができた。
また最高7,800MHzまで対応するメモリスロットや、PCI Express 5.0(x4)SSDに対応するM.2スロット、Wi-Fi 7対応のワイヤレスモジュールなど高速なインターフェイスも充実しており、上位モデルとの違いは10ギガビットLANやThunderbolt 4といった、ワークステーションやウルトラハイエンド向けの機能だけ。一般的な用途で差を感じることはほぼ無いだろう。
最高クラスのCPUとグラフィックスカードに、高速なオーバークロックメモリを組み合わせてハイエンドゲーミングPCを組み上げるなら、強力な電源回路と充実したチューニング項目を揃う「MPG Z790 CARBON WIFI II」は魅力的な製品になることだろう。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社