エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1397
2024.02.26 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時は省電力機能が働くため、いずれのグラフィックスカードでもほぼ横並び。また高負荷時の消費電力はRadeon RX 7900 GREがRadeon RX 7800 XTより約14W低くなった。今回検証した製品はいずれもオーバークロックモデルということで、定格モデル同士の比較ではもう少し差が縮まる可能性はあるが、Radeon RX 7900 GREのほうが省電力であるというのは間違いないだろう。
テストセッションのラストは、SAPPHIRE「PULSE Radeon RX 7900 GRE GAMING OC 16GB GDDR6」に搭載されているオリジナルトリプルファンファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。なおストレステストには消費電力テストと同じ「3DMark Speed Way Stress Test」を使用している。
テスト中のGPU温度は最高70℃、Hot Spot温度も最高84℃までしか上がらなかった。ファン回転数も最高1,330rpm前後、温度が安定してからは1,100rpm前後、回転率は25%前後で推移し、VGAクーラーの冷却性能にはまだ十分余力が残されている。そしてテスト中の風切り音もCPUクーラーのオールインワン型水冷ユニットのほうがうるさく、全く気になることはなかった。
Radeon RX 7800 XTから、実に33%もストリームプロセッサが拡張された「Radeon RX 7900 GRE」。一方で、GPUクロックやメモリクロックはRadeon RX 7800 XTより低く、ゲーム性能の上積みが最大でも10%前後に留まるのはやや残念なところ。正直GPUクロックについては、もう少し高めの設定でも良かったような気がする。
とはいえ、Radeon RX 7800 XTから確実に性能が向上、特に3Dレンダリングや生成系AIではストリームプロセッサが増加した強みを見せてくれた。それでいて消費電力はRadeon RX 7800 XTよりも明らかに少なく、ワットパフォーマンスを重視する人にとってはとても魅力的な存在になる。
また価格についても事前情報によれば税込9万円台から10万円前後になる見込み。さすがにRadeon RX 7800 XTから買い替えるほどではないが、これからRadeon RX 7800 XTの購入を検討していたならプラス10,000円前後を追加で投資して、Radeon RX 7900 GREを購入したほうがいいだろう。
そして今回検証したSAPPHIRE「PULSE Radeon RX 7900 GRE GAMING OC 16GB GDDR6」に目を向けると、カード長は実測約322mmとアッパーミドルクラスの製品としてはやや大柄だが、その分オリジナルのトリプルファンクーラーは冷却性能、静音性とも非常に優秀だった。PCケースのクリアランスに問題がないなら、Radeon RX 7900 GREの有力候補になる製品だ。
協力:AMD