エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1398
2024.02.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
今回取り上げるのは、Noctuaが2023年11月7日付で発表したサイドフロー型CPUクーラー「NH-D9L chromax.black」とトップフロー型CPUクーラー「NH-L9x65 chromax.black」だ。これらの概要をチェックする前に、まずは以前発売されたこちらの2製品をご覧頂こう。
Noctua「NH-D9L」(2014年11月12日発表) |
Noctua「NH-L9x65」(2015年3月11日発表) |
いずれもお馴染みNoctuaカラーのサイドフロー型とトップフロー型クーラー。メーカー発表は前者が2014年11月12日、後者が2015年3月11日となり、ざっくりとかれこれ約10年が経とうとしている。しかし進化のスピードが速いとされる自作PCパーツの中でも、とりわけCPUクーラーの冷却機器としてのスタイルは、ここ10年で大きく変化していない。
とは言え、常に新しいモノを求める熱心な自作派たちが生息するこの業界において、10年前の製品が未だ現役という事は極めて希なケースだろう。しかしこの2製品は現在でも国内市場で新品が入手できる。
一目で分かる”あのカラーリング”に特別なこだわりを持つNoctua。一方で2017年10月には「chromax」シリーズを発表した。リリース当初は「CHROMAX by NOCTUA」の専用ロゴを用意し、ブラック、ブルー、レッド、グリーン、イエロー、ホワイトのカラー展開で、これまでの路線からは異なる”ポップなNoctua”をイメージさせた。
「chromax」シリーズ |
Noctua初のサブブランド「chromax」の現在は、当初のポップな路線からやや軌道修正を行い、ブラックをベースとした製品に落ちついている。ちなみに「REDUX」シリーズも存在し、過去発売された”クラッシックNoctua”製品を厳選。冷却ファンはグレー&ブラックカラーに化粧直しを行い、合理化されたパッケージに収納して仕立て直した言わば再販シリーズだ。
「REDUX」シリーズ |
このように、Noctuaは従来モデルにバリエーションを用意することで戦略の見直しを図ったワケだが、さて思惑通りコントロールができているかはやや疑問が残る。ともあれNoctuaブランドの強さは未だに揺るがない点は、誰もが認めるところだろう。
さて前置きはここまでだ。今回取り上げるのはNoctua初のサブブランド「chromax」が”進化して落ちついた”ブラックベースの「NH-D9L chromax.black」と「NH-L9x65 chromax.black」だ。いずれも冒頭でご覧頂いた約10年前になろうかというCPUクーラーをそれぞれブラックカラーにリニューアル。言わば化粧直しを施した「新製品」としてリリースされた。
ブラック基調で洗練されたchromaxシリーズの外装パッケージ |
パッケージを見比べてみると、ずいぶんとイメージが異なる。筆者的にはだんぜんNoctuaカラーが好みだが、さすがにchromaxシリーズは洗練されており、別のアプローチを試みている姿勢がひしひし伝わってくる。冷却専門の玄人集団が見映えを気にするようになった事はオドロキだが、これほど「魅せるPC」が流行から一般化されると動かざるを得なかったのかもしれない。一方で未だRGB LEDに手を出していないあたり、Noctuaの確固たる信念のようなものを感じる。
Noctuaカラーでお馴染みの共通デザインパッケージ |
なおNH-D9L chromax.blackの外装パッケージは実測で幅約175mm、奥行き約150mm、高さ約175mm。NH-L9x65 chromax.blackは、実測で幅約180mm、奥行き135mm、高さ135mmだった。