エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1401
2024.03.08 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
今回、遅ればせながら取り上げる「A115」(型番:CT-9010011-WW)は、自作PCパーツメーカーの老舗、CORSAIRが放つハイエンド志向のサイドフロー型CPUクーラーだ。敢えて”遅ればせながら”としたのは、既に国内外を問わず多くのメディアや一般ユーザーによるレポートが掲載されているから。冒頭触れたように、現在多くのメーカーから同コンセプトの製品がリリースされ続けているが、オールインワン型水冷ユニットを世に広めたCORSAIRが、敢えて空冷クーラーの話題作を市場に投入してきたことで、注目が集まるのは至極当然の結果だろう。
CORSAIR「A115」(型番:CT-9010011-WW) 市場想定売価税込15,580円(2024年2月2日発売) 製品情報(CORSAIR) |
2つのヒートシンクをヒートパイプで正対させ、2基の140mmファンで高いエアフローを構築。イマドキのハイエンドCPUクーラーのスタイルを踏襲したA115は、ある意味オーソドックスな設計とも言える。ではどこにA115のアピールポイントを見つけるかと言えば、冷却性能しかない。RGB LED非搭載ファンに魅せる要素は期待できないし、オールブラックに統一された全体は、ともすればPCケース内部でステルスのように存在を隠しながら、たんたんと仕事をこなす事に徹する。言うならば、A115は近頃では珍しい硬派なCPUクーラーであり、敢えて空冷に真摯に向き合ったCORSAIRの技術の結集とも解釈できる。
どんどんハードルを上げているように感じるかもしれないが、CORSAIRほどのメーカーであれば(さらに後発であればこそ)多少冷えるという結果は誰も納得しないだろう。市場想定売価の税込15,580円も決して安価ではないため、コストパフォーマンスを重視する層にもアピールは弱い。だから「冷却性能しかない」のである。
検証をはじめるにあたり、まずはスペック表からA115の概要を把握しておきたい。対応ソケットはIntel LGA1700/1200/115x、およびAMD Socket AM5/AM4で、コンシューマ向け現行モデルをフォロー。いかにも大型なツインタワー型CPUクーラーの外形寸法は幅153mm、奥行き155mmで、高さは164.8mmにおよぶ。
高さだけ0コンマ1桁まで表記されているのは、搭載可能とされるPCケースに関係があるのかもしれない。CORSAIRの製品サイトには同社製PCケース「3000/4000/5000/7000」シリーズに対応とわざわざ明記されている。もちろん他メーカー製品でも使用できるワケだが、A115は大型のサイドフロー型CPUクーラーだけに、PCケース内部に収納できるか否かは選択のポイントになってくる。
対応PCケースとして名指しの「3000/4000/5000」は、いずれもCPUクーラー有効スペースが170mm(7000シリーズは190mm)となることから、あくまで表記上5.2mmを残して搭載可能であり、より正確に数字を開示することで安心感をアピールしようという考えだろう。
その他詳細については、検証を進めながら解説していく。
外装パッケージは実測で幅約200mm、奥行き約200mm、高さ約185mm。ブラックとイエローのいわゆる「警戒色」を採用。本来注意喚起といった意図で使用される配色だが、あまたあるライバル製品の中に埋もれない存在感は、十分にアピールできている |