エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1401
2024.03.08 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
続いて、第14世代Intel CoreプロセッサのフラッグシップモデルであるCore i9-14900Kでもチェックを進めていこう。なおPL1/PL2はMaximum Turbo Powerの253Wに設定した状態で検証を行っている。
「OCCT 12.1.15」の動作クロックはPコアが5,700MHz前後、Eコアが4,400MHz前後、「Cinebench 2024」でもそれぞれ5,400MHz前後、4,400MHz前後で、Core i7-14700のPL1/PL2=253Wの設定よりもさらにクロックが上昇しているのも関わらず、CPU温度は「OCCT 12.1.15」で75℃前後、「Cinebench 2024」では82℃前後に留まる。このことから、第14世代Intel CoreプロセッサのMaximum Turbo Power設定までなら、どのCPUを使用した場合でもCORSAIR「A115」なら冷却性能が不足することはない。またPower Limitを無制限設定にすれば、さらなるパフォーマンスアップも期待できるだろう。
これまでのテストと同様、ファン回転数は1,600rpm前後まで上昇し、ノイズレベルもおおむね43dBA台で推移する。
テストセッションのラストはヒートシンクやヒートパイプの温度をサーモグラフィを使い確認しておこう。なおテスト用のCPUはCore i9-14900Kを、ストレステストは「Cinebench 2024:30 minutes(Test Stability)」を使用している。
アイドル時のサーモグラフィ |
高負荷時のサーモグラフィ |
高負荷時のサーモグラフィの結果を確認すると、周囲のヒートシンクより明らかにヒートパイプの温度が高く、ヒートパイプ内を熱が移動している事がわかる。また冷却ファンからフレッシュな外気が吹き付けられるメモリ側のヒートシンクのほうが、リアインターフェイス側のヒートシンクより温度が全体的に低くなっている。
テストセッションの結果が表しているとおり、A115の冷却性能および静音性は高かった。ここは前評判通りで、近頃のハイエンドCPUクーラーらしい性能はむしろ「当然」といったところだろう。CORSAIRの看板を背負ったパフォーマンスはさすがだ。しかし若干の注文もある。
テストセッションで試したが、搭載メモリの高さに影響して冷却ファンを上方向にスライドさせるスタイル。ラチェットスライドロック式ファンマウントシステムの利便性に文句はないが、冷却ファンがズレることで性能が下がる事は覚えておく必要がある。さらにCORSAIR発表の対応PCケースに「3000/4000/5000/7000」と明記されているものの、「VENGEANCE DDR5」のひとつ上位である「VENGEANCE RGB DDR5」を組み合わせると全高が約185mmとなり、搭載できるPCケースがたちまち限定される。これは冷却性能の影響よりも大きな懸念材料と言わざるを得ない。
PCパーツ業界のAクラスであるCORSAIRだけに、マイナス面も全て開示しなければ全ての購入者は納得しない。すぐ改善できる課題を残したが、CPUクーラーとしての出来の良さは空冷クーラーの最上位にいることは間違いない。
提供:CORSAIR