エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1402
2024.03.10 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:pepe
続いてUL Procyonを使い、クリエイティブな作業やAI関連のパフォーマンスをチェックしていこう。
まずはAdobe PhotoshopやAdobe Lightroom Classicを使った画像処理性能を計測する「UL Procyon Photo Editing Benchmark」の結果を確認すると、総合スコアは6,000を超えやはりミドルレンジクラスのデスクトップPCかそれ以上の性能を発揮する。また「MSI AI Engine」と「究極のパフォーマンス」の比較では「Image Retouching score」は約6%、「Batch Processing score」では約13%の差がついた。Adobe Photoshopによる映像処理を行う場合は「MSI AI Engine」でもいいが、大量のファイルに対して連続処理を行う場合には「究極のパフォーマンス」を選択するのがいいだろう。
ビデオ処理性能を計測する「UL Procyon Photo Editing Benchmark」でもパフォーマンス的にはミドルレンジクラスのデスクトップPCとほぼ同等。またプリセットの違いによる性能差は約2%に留まり、動画のエンコードでは「究極のパフォーマンス」を選択する必要はない。
Intel OpenVINOによるAI推論性能もチェックしておこう。今回はデバイスにNPU、GPU(Intel Arc Graphics)、CPUの3つを選択しているが、最も高性能だったのはGPUで、その後にNPU、CPUが並ぶ結果になった。ただしシステムの消費電力を計測したところ、GPUやCPU使用時はいずれも80W前後まで上昇するのに対して、NPU使用時は35W前後までしか上がらず電力効率は極めて高い。電力効率を重視する場合はNPUを、処理時間を追求する場合はGPUを選択するといいだろう。
NPU選択時はタスク マネージャーでもNPUが動作している様子が確認できた。ちなみに使用率はおおよそ50~60%だった |
また「MSI AI Engine」と「究極のパフォーマンス」の比較では、GPU使用時は全くスコアが変わらなかったが、NPU使用時は約5%、CPU使用時は約13%と大きな差がついた。
MSIが第13世代Intel Coreプロセッサ以降のCPUとNVIDIA GeForce RTX 4050以降のGPUを搭載したノートPCに提供している、AI画像生成ユーティリティ「AI Artist」のパフォーマンスもチェックしておこう。今回は「Optimizer」に“TensorRT”、「Plugin」に“All MSI”、「Quantity」を“16”に設定し、それ以外は標準設定のままでテキストから画像の生成を行った。なお処理時間は5回計測し、最大値と最小値を除いた3回分の平均値をスコアとして採用している。
元々スコアにブレが大きいAIによる画像生成だが、差は1%未満に留まり、プロファイルによるパフォーマンスの違いはなかった。ちなみに「AI Artist」は一度インストールが完了すればオフラインでも利用可能。さらに面倒な初期設定も不要なため、生成系AIに興味があるならぜひ試してみて欲しい。