エルミタ的「編集部で使ってみた」
2024.03.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ヒートシンクの表面がCPU側を向くため、この向きだとヒートシンクの裏側が見えてしまうのは残念なところ。細かいところだがヒートシンクの裏・表は逆にして欲しい |
製品の概要を把握したところで、ここからは早速「CP2K16G60C36U5B」を2セット使い、4枚挿しの構成を試してみることにしましょう。なお検証用PCには、CPUにCore i9-14900K、マザーボードにIntel Z790チップセットを採用するASRock「Z790 NOVA WiFi」、グラフィックスカードにGeForce RTX 4080 SUPER Founders Editionを搭載するハイエンドPCを用意しています。
「CPU-Z 2.09.0」で確認をしたところ、メモリプロファイルはIntel XMP 3.0とAMD EXPOにしっかりと対応している |
「HWiNFO64」で「CP2K16G60C36U5B」のRankを確認したところ“1Rank”だった |
ASRock「Z790 NOVA WiFi」では、メモリプロファイルを読み込むだけで4枚挿しでも6,000MT/sの安定動作が可能 |
今回の検証に使用したASRock「Z790 NOVA WiFi」は、1Rankメモリの2枚挿しなら最高8,000MT/s、4枚挿しでも最高6,000MT/sまで動作がサポートされていることもあり、Intel XMP 3.0のメモリプロファイルを読み込むだけで、DDR5-6000の安定動作が可能でした。
そこで「Sandra 20/21」の「メモリーの帯域」「メモリのレイテンシー」と、比較的メモリクロックやレイテンシの影響が大きいことで知られている「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」のベンチマークテストを実行してみることにしました。なお比較対象として、Crucial「Pro」シリーズのDDR5-6000モデル「CP24G60C48U5」(48-48-48)でも計測を行っています。
「CP24G60C48U5」の実行データ転送速度は6,000MT/sで「CP2K16G60C36U5B」と同じだが、メモリタイミングは48-48-48-96で、かなり緩めに設定されている |
「CP2K16G60C36U5B」と「CP24G60C48U5」はいずれも実行データ転送速度は同じ6,000MT/sなのにも関わらず、「メモリーの帯域」は「CP2K16G60C36U5B」のほうがいずれのテストでも約10%高速化されています。そして「メモリーのレイテンシ」では、「CP24G60C48U5」に比べて8割強までレイテンシが短縮されており、メモリ関連のテストでは、メモリタイミングが小さくなった影響はとても大きいことがわかります。
続いて、「ファイナルファンタジーXIV︓暁月のフィナーレ」(フルHD解像度/最高画質)の結果を確認すると、「CP24G60C48U5」に比べて約5%スコアがアップしています。「Sandra 20/21」のメモリ関連テストに比べると差は小さいですが、確実に影響はあるようです。
従来の「Pro」シリーズに比べて、25%もメモリタイミングが低い「Pro Overclocking」シリーズですが、今回検証した環境では4枚挿しでも、テスト中に不安定な挙動を示すことは一切なく、大容量かつ低レイテンシな環境を構築することができます。
また実行データ転送速度が同じ「Pro」シリーズ製品との比較では、レイテンシはもちろん、帯域も向上しており、メモリ関連テストではその効果は抜群です。さらにIntel XMP 3.0とAMD EXPOのプロファイルが登録されているため、プラットフォームを選ばずに使えるのも頻繁に構成を変える自作派にはメリットになるはずです。
ただし、実アプリケーションやゲームではメモリスピードやタイミングの影響は限定的なこともあり、CPUやグラフィックスカードを変えたときのような劇的な差は出ません。ミドルレンジ以下の構成なら、メモリよりもまずはCPUやグラフィックスカードのアップグレードを検討したほうがいいでしょう。
すでにハイエンド構成のCPUやグラフィックスカードを使用しているなら、動作クロックも高く、低レイテンシな「Pro Overclocking」シリーズは、PCの性能をさらに引き上げることができる良い選択肢になるはずです。
協力:Crucial