エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1403
2024.03.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最後に重量級グラフィックスカードをサポートする「Graphics card brace」について触れておこう。サイドファンブラケット(右側面)の前方に2本のネジで固定されているプレートは、長尺グラフィックスカードをカード背面から支える役割を果たしてくれる。固定場所は後方寄りに移設が可能で、搭載するグラフィックスカードのタイプにより使い分ける事ができる。
運用時は「Rubber padding for graphics card brace」を貼り付け、グラフィックスカード自体はゴム素材と接触することになる。なお検証で使用したGeForce RTX 4070 Founders Editionは幅が幅約112mm、長さが約243mmとなり、長尺ではないため用をなさなかった。SUGO 17のグラフィックスカード有効スペースは長さ約400mmまで。ハイエンド志向のパーツを選択するなら、是非活用してほしい。
構成パーツ全ての搭載が完了。仕上げの作業を行う。と言っても外装パネルを閉じるだけだが、その前にシャーシ側トップパネルに該当するトップファンブラケットを元の位置に戻す。計8本で固定されたブラケットには、120mmファンが3基搭載されており、電源供給用にケーブルを接続しなければならない。
今回の構成ではオールインワン型水冷ユニットを使っているため、CPUソケット付近に冷却ファンは無い。さらにラジエーターは右サイドパネル側に冷却ファンがある。どうしても構成パーツを組み込んで行く毎にどんどん内部が狭くなるため、ケーブルが冷却ファンに巻き込みやすくなる。SUGO 17は作例等を見ても内部側になるべく冷却ファンが向かないよう、考慮されている事が分かる。ミドルタワーPCケースのようなケーブルマネジメント機構は期待できないだけに、ユーザー自ら配線への気遣いが必要になってくる。
久し振りに触れた、SilverStoneのPCケース。冒頭に触れたクラシカルな雰囲気についてボディ全体からは感じられるものの、内部構造はイマドキの設計で、なかなか凝っている。
検証で全てをお伝えできなかったが、マニュアル(PDF)をじっくり閲覧すると、CPUクーラー(空冷)周りの詳細なクリアランスや、ストレージとの関係など、事細かく数値で開示されている。既にSUGO 17を手にしているユーザーだけに限定されず、購入検討者および購入目前で構成パーツの選定に入っている人にとって、これらの情報開示はかなり有効になるはずだ。そんな丁寧な姿勢に、自作PCパーツを知り尽くしたSilverStoneらしさを感じた。
メッシュ仕様の通気孔からARGBファンの発光を十分楽しむ事が可能 |
聞くところによると、コンシューマ向けメーカーではあるものの、近頃ではサーバー関連でも小回りが効くメーカーとの位置付けで知られているという。それらの経験が相互でいい方向に作用してくれれば、より良い製品が市場に投入され、われわれが手にする事ができるようになるだろう。
そして今回の主役、SUGO 17については、これといってマイナス点は見当たらなかった。多少の組み込みにくさはこのスタイルのせいであり、製品の善し悪しとは関係が無い。長尺グラフィックスカードと長尺ラジエーターの搭載が軸に設計されていることは想像できるが、決して間延びせず無駄のない空間の使い方は上手い。売価にややハードルの高さを感じてしまうものの、しっかりとした”鉄の筐体”が欲しいニーズには、十分に応えられる仕上がりではないだろうか。
提供:SilverStone Technology