エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1410
2024.04.06 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ギミックを豊富に詰め込んだNorth XL。象徴的なフロントパネルを筆頭に、外装周りと内部設計をくまなくチェックした後は、構成パーツを実際に組み込み、搭載後の周辺クリアランスや作業におけるポイントや注意点、ときに改善点等を挙げていく。
広いマザーボードトレイには、ATX規格よりも大型なE-ATX、SSI-CEBおよびSSI-EEB規格がサポートされている。現在流通するE-ATXクラスはサーバー向けマザーボードがほとんどだが、これを必要とする事業者など業務向けPC筐体としてNorth XLは選択肢のひとつになる。
そこで今回はSSI-EEB(305x330mm)規格のASRock「WRX90 WS EVO」とE-ATX(305x277mm)のASRock「TRX50 WS」を用意。ATX規格(305x244mm)のASRock「Z790 Steel Legend WiFi」と共に、搭載後の周辺クリアランスをチェックしてみよう。なお作業に先駆け、両サイドパネルと共に、左側面前方に固定されているアクセスパネルも取り外している。
ASRock「WRX90 WS EVO」 |
ASRock「WRX90 WS EVO」(SSI-EEB/305x330mm)搭載後のクリアランスは、トップパネルまでが約70mm、フロントパネル内側までが約80mmだった。さすがに若干対応を謳うには無理があるミドルタワーPCケースとは違い、右手縦列のグロメット付きスルーホールが基板のラインに沿うように露出できている。AMD Ryzen Threadripper PRO対応のSocket sTR5マザーボードがキレイにフィットしている事が分かった。
ASRock「TRX50 WS」 |
ASRock「TRX50 WS」(E-ATX/305x277mm)のクリアランスは、トップパネルまでが約70mm、フロントパネル内側までが約135mmだった。SSI-EEBよりも幅が小さい分、搭載後の周辺もゆったり見える。
ASRock「Z790 Steel Legend WiFi」 |
ASRock「Z790 Steel Legend WiFi」(ATX/305x244mm)については、なんら問題がない事はもとより、右手の空きスペースには2列目のグロメット付きスルーホールまでしっかりと露出できている。フルタワーPCケースにとって、ATX規格マザーボードはこれほどにも小さく見えるというワケだ。なお本稿ではZ790 Steel Legend WiFiをベースに、組み込み解説を進めていく。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーの有効スペースを計測してみよう。まず公称値はサイドファンブラケット非搭載時で高さ185mmまでとされる。実際にCPUの上にレーザー距離計を設置して実測したところ、メッシュ仕様の左サイドパネル内側までの距離で191mmを表示した。
さらにサイドファンブラケットを上段のPosition 1(High) に装着した場合、レーザー距離計の表示は159mmだった。つまり、CPUクーラーの選定には、サイドファンブラケットの固定位置が重要であり、どのようなエアフローレイアウトを構築するか、パーツ選定前に決めておく必要がある事を意味する。
公称値より実測で+6mm広いCPUクーラー有効スペース。とは言え製品選定の際はあくまで公称値を目安としたい |
サイドファンブラケットを上段のPosition 1(High) に装着した場合。メモリに直接風を当てたい場合は、実測159mm以下のCPUクーラーを選ばなければならない |
次にCPUクーラーメンテナンスホールの状態をチェックしておこう。開口部は実測で幅約200mm、高さ約135mm。LGA1700対応マザーボードのCPUクーラーマウントホールも余裕をもって露出できている。周辺にグロメット付きスルーホールがありつつ、広いカットアウトは大型PCケースの特権と言える。