エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1413
2024.04.19 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
「Silent Master PRO Z790/D5」はCPUクーラーにファンレスのNoctua「NH-P1」、グラフィックスカードに「Silent Master Graphics」を採用し、極めて高い静音性を目指した構成になっている。ここではストレステストにて負荷をかけ、その際の冷却特性および静音性についてチェックしていきたい。
CPUクーラーのストレステストには「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:30 minutes」、グラフィックスカードには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、動作クロックと温度を「HWiNFO」で計測した。
CPUクロックは最大で5GHz超えまで上がるシーンもありつつ、負荷が連続するシーンでは概ね3.0GHz程度で動作している。その一方で温度は70℃台半ばの状態で推移しており、サーマルスロットリングは発生していない。動作も極めて安定しており、しっかりCPUを冷却しつつ可能な限りパフォーマンスを引き出すという、独自チューニングの狙いはしっかり達成されているようだ。
「Silent Master Graphics」を採用するグラフィックスカードの方は、動作クロックこそテスト開始からすぐに最大値まで上昇するものの、温度の上がり方は極めて緩やか。GPU温度は最大でも70℃未満であり、Hot Spotに限っても最大83℃と、Noctua製フラッグシップファンを使用したクーラーの優れた冷却性能が証明されている。
そして負荷テスト中の動作音については、なんと高負荷時でもわずか31dBという圧倒的な静かさ。アイドル時との差も3dBしかなく、ストレステストへ移行した際も意識して音を聞き取ろうとしなければ、音が大きくなったことに気が付かないレベルだ。まさに“究極の静音”というコンセプトに恥じない静粛さを達成している。
最後は「Silent Master PRO Z790/D5」の消費電力をチェックし、各種検証を締めくくろう。高負荷時の数値はストレステストの「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を動作させた際のもので、起動後10分間何もせず放置した際の最低値をアイドル時として、それぞれワットチェッカーによる計測を行った。
やはり低電圧版CPUを使用したマシンとあって、ハイエンド構成ながら消費電力は最大305Wに留まっている。GeForce RTX 4070 Ti SUPERを選択した時点で、カスタマイズのシステム上電源ユニットは700W台を組み合わせる必要があるが、十分すぎるマージンを備えているようだ。多少電源ユニットがヘタることがあったとしても、動作が不安定になる心配はない。
静音へのこだわりを形にするため、CPUのパッシブ冷却という尖った構成を採用した「Silent Master PRO Z790/D5」が製品化されてから、まだ1年足らず。コンセプトはそのままにCPUが第14世代にアップグレード、さらにGPUもGeForce RTX 4070 Ti SUPERが選べるようになり、順当にパフォーマンスが向上した。
もちろん性能だけでなく、特にグラフィックスカードは静音性も一段高いレベルに到達している。製品化当初はまだ登場していなかった、Noctuaファンを搭載する超静音グラフィックス「Silent Master Graphics」は、まさに“究極の静音”を標榜する「Silent Master PRO」のパートナーに相応しい存在。既製品ではなく、静音を突き詰めたまったくのオリジナルカードを組み合わせることで、理想の静音BTOの完成度はこれまで以上に高められたと言える。
「Silent Master Graphics」は、サイコムにおける静音BTOの仕掛け人をして「これ以上静かなグラフィックスカードは作れない」と言わしめる出来栄えであり、その静かさは検証でも存分に堪能できた。仮にベッドサイドでガンガン動かしたとして、音を気にせず快眠できるレベルだろう。ゲーミングマシンとしても十分に機能するパフォーマンスを発揮しつつ、もはや趣味の領域と言えるほど高レベルな静音PCが完成した。
最適に調整された低電圧版CPUにファンレスクーラー、プレミアムファンによる独自の超静音グラフィックスと、思えばNoctua尽くしな贅沢構成。性能と圧倒的な静かさを、個人では実現できないレベルで両立した1台だ。
提供:株式会社サイコム