エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1423
2024.05.21 更新
文:編集部:絵踏 一/撮影:pepe
ここからは、実際に「MPG 271QRX QD-OLED」をPCに接続しての実動インプレッションをお届けしよう。動作検証にあたっては、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングマシン「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意した。
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「MPG 271QRX QD-OLED」が搭載するQD-OLEDパネルは視野角が水平垂直ともに178°とされているが、一般的な液晶とは比べ物にならないほど視野角の変化に強く、どの角度から覗き込んでも画質の変化が極めて少ない。
またパネル全体の均一性も高く、自発光ピクセルの制御による高コントラストと量子ドットの組み合わせは、True 10bitカラーの広範な色域を最大限に活用した色鮮やかな色彩表現が可能。ただしパネルは(カラーフィルターの影響か)完全な黒ではなく紫色のように見えるため、ハーフグレア処理された表面に光が当たると黒がやや浮く印象だ。
MSI独自の補正機能「ナイトビジョン」は、暗部の明るさを持ち上げて視認性を向上させるゲーミング向け機能だ。一般的な輝度調整では画面全体が一律で変化するのに対し、「ナイトビジョン」は輝度を5段階の設定「オフ/通常/強い/最も強い/A.I.」で最適化。白飛びを抑え、ゲームの雰囲気を損なうことなく視認性を高めることができる。
そして新たに追加された「A.I.ビジョン」は、画像のコントラストと背景の輝度を最適化することによる、画質の強化が謳われている。ただし今回の検証では「ナイトビジョン:A.I.」と「A.I.ビジョン:オン」でわずかにコントラストが強化されている印象を受けたものの、明確な差として認識できなかった。
もっともどちらの機能も視認性の向上に貢献しており、プレイタイトルやシチュエーションに応じて、最適な設定探しに活用したい。
最後はレースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用し、リフレッシュレート60Hz/120Hz/240Hz/360Hz設定におけるそれぞれの違いを比較する。テストではディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影した。
直接電圧かけて各ピクセルを個別に自発光させる有機ELでは、公称値0.03msと驚異的な中間階調応答速度(GTG)を実現しており、検証環境では残像感を確認することも困難なほど高速に画面が更新される。これは高リフレッシュレート時に限らず、一般的な60Hz環境においても残像感が極めて少なかった。
また、360Hzという超高速リフレッシュレートにおいても、オーバードライブされたゲーミング液晶にありがちなオーバーシュートやゴーストといった画質の破綻は一切なし。それでいて量子ドット特有の高精彩が相まって、目を見張るほどの高画質を両立している。
無数のディスプレイが並ぶショップの売り場でも際立つ画質の良さから、「MPG 271QRX QD-OLED」は3月の店頭発売時より気になっていた存在だった。それは毎日眺めているショップ店員も同じだったようで、「あまりにキレイなのでつい買ってしまった(怒)」というなぞのクレームを聞かされたほど。量子ドット技術を用いたQD-OLEDパネルによる映像美はずば抜けており、ぜひ実際に目で確かめてほしいと感じるディスプレイだ。
キャリブレーション済みの高精度な広色域表示というクリエイター向けの適性もありつつ、ゲーミング向けのパフォーマンスも圧倒的。最大360Hzというトップクラスの高リフレッシュレートとOLEDならではの超高速応答は、27型相当のWQHDディスプレイとして最高峰だ。さらに前述の映像美も相まって、まさしく“究極のゲーミングエクスペリエンス”が味わえる。
価格は15万円超とかなり高価ながら、これまでのディスプレイの使用感をガラリと変えるインパクトの大きさを考慮すれば、その価値アリと言わざるを得ない。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社