エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1424
2024.05.24 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
スタックドフィンもさることながら、冷却性能に大きく影響を及ぼすのが受熱ベースプレートとヒートパイプだろう。前者はCPUからの熱を吸い上げ、後者は素早く放熱フィンへ拡散させる重要な役割を果たしてくれる。
銅製でニッケルメッキ処理が施された受熱ベースプレートは、実測で幅約42mm、奥行き約45mm。厚さ約15.5mm(最厚部)といったところ。また上部には、左右にスプリングスクリューが固定されたプレートがネジ留めされている。
受熱ベースプレートに挟まれるように装着されているのが、6本のφ6mm銅製ヒートパイプだ。腐食防止のメッキ処理により、あたかもアルミニウム製放熱フィンと銅製受熱ベースプレート、銅製ヒートパイプは一体に見える。とは言え、冷却性能は見た目の良さだけでは判断できない。肝心なのは、ヒートシンクを形作る構成部品の接合と工作精度であることは言うまでもない。
ヒートシンク中央から左右均等に貫通する計6本のヒートパイプ |
アルミニウム(放熱フィン)と銅(ヒートパイプ)は素材としての熱膨張係数が異なるため、経年の熱サイクルにより「嵌合」が緩む可能性がある。進行すれば受熱ベースプレートからCPUの熱を吸い上げ、熱移動を行うヒートパイプが精確に放熱フィンへ熱拡散ができない。このロスを減らす目的から、放熱フィンとヒートパイプの接合部にははんだ付けが行われている。
これはNoctuaも再三言及している冷却機器における基本であり、熱心なエルミタ読者ならご存じの方も多いだろう。長年使用しても冷却性能を維持するためには、見た目だけでは判断がしにくい丁寧かつ確実な製造がキモになっている。
そして4本から6本に増えたヒートパイプは、NH-L12Sの発売当時から進化したCPUの高い熱負荷に対応すべくアップデート。特に熱処理が難しいとされるIntelのターボ・ブースト・テクノロジーを搭載する、スモールフォームファクタ向けには冷却性能を向上させる必要があったという。