エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1426
2024.05.29 更新
文:編集部 池西 樹
映画「アバター」シリーズをベースにしたオープンワールドゲーム「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」のゲーム内ベンチマークのスコアも確認しておこう。「グラフィック品質」は“ウルトラ”に設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を実施した。
「アサシン クリード ミラージュ」と同じく、4K解像度やWQHD解像度ではグラフィックスカードの負荷が高くスコアは横並び。しかし、フルHD解像度ではRyzen 5 8400FやCore i5-13400では92fpsなのに対して、Ryzen 7 8700F/Gでは96fpsで約4%高いフレームレートを記録した。
ゲーム系ベンチマークのラストは、オープンワールド型アクションRPG「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」のゲーム内ベンチマーク結果を確認していこう。解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類。「クイックプリセット」は“レイトレーシング:ウルトラ”に設定している。
GPUの負荷が極めて高いゲームということもあり、いずれの解像度でもスコアに優位な差はつかなかった。よりハイエンドのグラフィックスカードを組み合わせれば差が出る可能性はあるが、Radeon RX 7900 GREクラスの性能であれば、CPUの影響はそれほど大きくないようだ。
ゲーム系のベンチマークが一段落したところで、消費電力を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「Cinebench 2024:10 minutes」実行時の最高値を採用している。
Ryzen 8000シリーズでアイドル時の消費電力が大きいのは、マザーボードに2基のチップセットを搭載する「X670E Taichi」を使用しているため。シングルチップのAMD B650やAMD A620を使用しているマザーボードであれば消費電力を下げることができるだろう。また高負荷時の消費電力はRyzen 5 8400Fが157.2W、Ryzen 7 8700Fでも174.3Wまでしか上がらず、電源周りが簡易的なエントリークラスのマザーボードでも安心して動かすことができる。
テストセッションのラストは標準で付属するWraith Stealthクーラーの動作を確認しておこう。なおストレステストにはこちらも「Cinebench 2024:10 minutes」を使用している。
まずRyzen 5 8400Fの結果を確認すると、CPU温度は概ね90℃弱、CPUクロックは約4,650MHzでほぼフラットに推移し、Wraith Stealthクーラーでも冷却性能が不足することはなかった。
一方で、Ryzen 7 8700FのCPU温度は許容温度である95℃でほぼ張り付いていた。サーマルスロットリングによるクロック低下はないものの、4,450~4,550MHzの間で細かくクロックが変動していることから、可能であれば別途CPUクーラーは用意したほうがいいだろう。
今回はAMD Ryzen 8000Gシリーズの内蔵GPUを無効化した廉価モデルRyzen 8000Fシリーズの検証を進めてきた。8コア/16スレッドのRyzen 7 8700Fは、Ryzen 7 8700Gに比べるとCPU性能はクロック通り約2%低下しているものの、ゲームではほぼ同等のパフォーマンスを発揮する。
それでいて価格は最近こなれてきたRyzen 7 8700Gより5,000円前後安価なことから、グラフィックス機能が不要ならアリだろう。さらに今後NPUを活用できるアプリケーションが増えてくれば、AI対応のデスクトップCPUとしても有望な選択肢になる。
一方、Ryzen 5 8400FについてはライバルとなるCore i5-13400Fのほうが安価でマルチスレッド性能は優秀。ゲームでも「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」以外は大きな差がつかなかった。さらにGPUやNPUを搭載し、クロックも高いRyzen 5 8600Gとの価格差も約2,000円しか無いことから現状の価格では、やや中途半端な立ち位置になる。ただし、価格がこなれ2万円台後半で購入できるようになれば、安価なSocket AM5 CPUとして面白い存在になるだろう。
協力:日本AMD株式会社