エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1434
2024.06.29 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは実際のゲームプレイに近い負荷をかけるため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークを動作させる。最初は人気MMORPGの最新アップデートである「ファイナルファンタジーXIV:黄金のレガシー」の公式ベンチマークテストだ。グラフィックスは「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットに設定し、これまで同様に30分間連続で実行した。
なお、テスト中の最大消費電力は452Wで、負荷率は56%。電源ユニットにとって最も変換効率に有利な50%に近い負荷がかかっており、動作環境としては理想的と言える。
これまた激しく上下するグラフになっているのは、フェーズごとにロードを挟むベンチマークテストの仕様によるもの。実際に変動幅にフォーカスしてみると、12VHPWRでも1%に届かないほどブレが少ない。グラフの波形も同じパターンをほぼ正確に繰り返しており、断続的に負荷がかかるシチュエーションにおいても、乱れなく一定の出力を維持できる安定性を備えているようだ。
最後は同じく長時間ループに対応したゲーム系ベンチマークから、より高負荷な「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークをチョイス。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択、解像度は3,840×2,160ドットにしている。テスト時間はこれまで同様の30分間だ。
消費電力は「FFXIV」や「3DMark」より高い最大569Wで、負荷率は66%。ゲームとしては高めの部類に入る負荷だ。
いずれも規格上の許容範囲に比べて、大幅に微小な変動に収まっているのはこれまでのテストと同様。最も変動が大きい12VHPWRでも1%未満の下振れに留まっている。フルロード中の挙動が±0.02V程度の変動に収まっている点も好印象。システムの各所にしっかり安定した電力を供給できる、十分な信頼性が確認できた。
「TOUGHPOWER GF A3 850W」はその構造からも、うまく部材のコストカットを図りつつ必要なところにはしっかりコストをかけるという、説得力のあるコストパフォーマンスモデルといった印象を受ける。+12Vの挙動を見る動作検証においては、アイドル時も定格ピタリとマージンこそそれほどないものの、厳格な電圧レギュレーションにより高い安定性を発揮していた。もしもの場合は10年保証の後ろ盾があることから、長期間の運用にも不安は少ない。
そしてCybeneticsの静音認証が証明しているように、検証中は常時回転の設定でもまったく動作音が気にならなかった。もちろんさらに静かに使いたい場合や、(ややコスト意識を感じる)ファンの寿命を温存したい向きには、セミファンレスを選択できる自由度もある。コストとパフォーマンス、信頼性のバランスがとれた電源ユニットとして、ミドル級ユーザーにとっての新しい有力候補になってくれそうだ。
提供:Thermaltake
株式会社アスク