エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1438
2024.07.16 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
ここからは大型パッケージより本体を取り出し、NH-D15 G2の外観からチェックをはじめよう。Noctuaにはchromaxシリーズも存在し、広く認知されているが、やはり”Noctuaカラー”は信頼性と安心感があると思うのは筆者だけだろうか。前作NH-D15同様、ブラウンとベージュを基調としたカラーの冷却ファンとヒートシンクで構成されたNH-D15 G2は、出荷時より2基の冷却ファンが装着された状態で梱包されている。
いわゆるツインタワー型のサイドフロー型CPUクーラーだが、空冷の限界を求めるならこのスタイルが究極なのだろう。NoctuaのハイエンドCPUクーラーは全てこのパターンで、トップフロー型の多くは筐体内部容積などの制約に合わせた設計がなされている。
ここでは全体を眺めるだけに留めるが、慎重に細部を見るとNoctuaらしい精巧な作りが見て取れる。ちなみに新作に合わせて機材置き場から引っ張り出したNH-D15を数年振りに眺めてみると、当時は最上級の工作精度と感じていたものの、新作では確実にブラッシュアップされている事に気が付く。さらに触れる事で製品自体の剛性の高さも顕著で、冷却性能のみならず細部で進化を続けている事が分かった。
次に2基の冷却ファンを取り外し、ツインタワー型のヒートシンクを観察してみよう。その前に、前作であるNH-D15のヒートシンクを改めて眺めてみよう。
以前詳細検証を行った「NH-D15」。当時の実勢価格は税込14,000円だった |
3パターンに細分化した受熱ベースプレートの最適化に注目が集まりがちだが、第2世代へと移行されたNH-D15 G2は、ヒートシンク形状そのものにも手が加えられている。最も大きな改良点は「放熱フィン面積の拡大」で、放熱フィンのピッチ(間隔)を1.9mmから1.6mmに狭めることで、面積そのものを20%拡大に成功している。
言うまでもなく、CPUクーラーは放熱面積が冷却性能に大きな影響を与え、一概には言えないものの受熱と放熱の効率も向上。冷却ファンとのバランスがうまく調整できていれば、冷却性能を確実に上げる事ができる。NH-D15 G2が大型ヒートシンクであるが故、ハイエンド志向の”最強空冷クーラー”が成立するというワケだ。
ちなみにNH-D15 G2の放熱フィンは、実測で1ヒートシンクあたり58枚で構成。よく見ると下の部分には段差が設けられており、この部分は放熱フィン7枚、その上部は放熱フィン51枚だった。なお前作NH-D15の放熱フィンは合計45枚で構成されている。
そして真横から見ると、向かい合うヒートシンクは幅が異なる事が分かる。画像右手が一般的な搭載方法で言うところのバックパネル側、左手がメモリ側で、前者が幅45mm、後者が幅50mmといった具合。ここまで大型化したハイエンド志向の空冷クーラーともなれば、メモリクリアランスについては多少目をつむる必要があるだろう。搭載後の様子はのちほど明らかになる。
次に真正面からも眺めておこう。ここで分かるのは、段差が設けられた7枚分の放熱フィンは3分の2ほどでカットされていること。そしてヒートパイプのレイアウトにより受熱ベースプレートがオフセットされ、このスタイルにすることで隣接するPCI Expressスロットへの張り出しが回避されている。製品サイトでは「マザーボードの互換リスト」が公表されているので、導入前のチェックに便利だ。