エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1445
2024.08.07 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
テストセッションのラストは消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「Cinebench 2024:10 minutes」実行時の最高値を採用している。
アイドル時の消費電力を確認すると、RyzenシリーズがCore i7-14700Kよりも高くなっているが、これはデュアルチップセット構成のAMD X670Eマザーボードを使用しているため。AMD B650E/B650のようなシングルチップセットのマザーボードを使えばもう少し低くなるはずだ。また高負荷時の消費電力を確認すると、Ryzen 7 9700Xは192.1W、Ryzen 5 9600Xは185.5W。先代モデルと比較するとそれぞれ約34Wと約20W低下し、TDPほどではないが確実に低下している。ちなみにCore i7-14700Kは400Wに迫る消費電力で、Ryzen 9000シリーズのワットパフォーマンスは極めて優秀であることがわかる。
また今回は360mmサイズのオールインワン型水冷ユニットを使用しているが、Ryzen 7000シリーズではいずれも90℃前後まで上昇するのに対して、Ryzen 9000シリーズはいずれも約66℃で頭打ちになった。ここまで温度が低ければ空冷での運用でも全く問題はないだろう。
今回は、約2年ぶりに刷新されたAMDの最新アーキテクチャZen 5を採用するRyzen 9000シリーズの第1弾モデル「Ryzen 7 9700X」と「Ryzen 5 9600X」の検証を進めてきた。
マルチスレッド性能についてはいずれも先代からは微増。ライバルとなるIntelプロセッサに実装されているEコアの差を埋めるほどではなく、過度の期待はしないほうがいいだろう。一方で、シングルスレッド性能は大きく向上しており、オフィスアプリケーションやゲームでは軒並み良好な結果を残している。
従来の「X」モデルと同様、CPUクーラーは付属していないが、これだけ発熱が少ないのであれば「Wraith Prism Cooler」のようなリテールクーラーを同梱しても良かったように思う |
そして消費電力が大きく削減されているのもメリット。先代との比較でも20~34W、Core i7-14700Kとの比較では約200Wもの差があり、このクラスの製品としては劇的とも言える程に低い。発熱も空冷クーラーで全く問題ないレベルに抑えられており、小型PCを構築する場合には有望な選択肢になるだろう。
そして順調であれば来週中にもCCDを2基搭載したハイエンドモデルRyzen 9 9000シリーズも登場する予定。こちらはTDPが100Wを超える性能を重視したモデルということで、どの程度のパフォーマンスを発揮するのか今から楽しみだ。
協力:AMD