エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1447
2024.08.11 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
どれを選べばいいのか。これは選択肢が溢れるほど豊富な「ピラーレスデザインPCケース」に対する、多くの自作派が抱く率直な感想ではないだろうか。編集部に届けられる新作PCケースの8割はピラーレスデザインで、そのどれもがおよそ良く出来ている。メーカーを問わず、高レベルでクオリティの高い製品が選択できる事は歓迎すべきだが、さて実際に選定するとなれば悩みの種だ。
そんな悩みをひとつ増やしたのがCORSAIR(本社:アメリカ カリフォルニア州)の新作「3500X」シリーズ。本稿の主役だ。
グローバルリリースが配信されたのは7月9日(現地時間)。そして正規代理店である株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の国内販売アナウンスは7月26日だった。複数のバリエーションはこの後に触れるが、エルミタ的には今年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2024」で詳細をお届けしている
CORSAIRブースの一等地に置かれた3500Xについてメーカー担当者曰く、2024年後半のCORSAIR主力機種とされる。外観だけを見ると、既に販売されている多くの選択肢に埋もれそうだが、特徴を記したメモ書きには、ピラーレスデザイン、背面コネクタマザーボードへの対応による裏配線スペースの確保、豊富なバリエーション、冷却重視といったキーワードが並んでいる。
今年後半の主役の座を狙うべく設計された”イマドキ仕様のミドルタワーPCケース”といった様相 |
とかくピラーレスデザインは外観が前面に出がちだが、3500Xの内部構造は最大10基の冷却ファンが搭載できるなど、エアフローを重視したハイエンド志向の性格を併せ持つ。そこはCORSAIRらしさが感じられる部分と言えよう。
ここでバリエーションを確認しておこう。2024年7月26日付プレスリリースでは、3500Xシリーズは3つの種類とそれぞれ2色のカラーバリエーション、合計6モデル展開である事がアナウンスされた。
iCUE LINK 3500X RGB Tempered Glassシリーズ | 3500X ARGB Tempered Glassシリーズ |
内訳は、今回検証を行うプレーンな「3500X Tempered Glass」(市場想定売価税込15,980円前後)、ARGBファンを標準装備する「3500X ARGB Tempered Glass」(市場想定売価税込19,980円前後)、iCUE LINKに特化した「iCUE LINK 3500X RGB Tempered Glass」(市場想定売価税込25,780円前後)の3種類となり、モデル名から想像できるように違いは右側面部の冷却ファン(有無)にある。
3500X Tempered Glassは標準ファン無し、3500X ARGB Tempered GlassにはアドレサブルRGB 120mmファン「RS120 ARGB」x3基、iCUE LINK 3500X RGB Tempered GlassにはiCUE LINK システムに対応する「iCUE LINK RX120 RGB」x3基が標準装備される。
iCUE LINK RX120 RGB | RS120 ARGB |
CORSAIRには独自のiCUE LINKシステムがあるため、標準装備モデルが2種類になり一見複雑に見える。とは言え、搭載ファン無しモデルの用意はユーザー寄りの設定ではないだろうか。手持ち資産を活用したり、時にCORSAIR以外の冷却ファンを増設したい自作派も当然いるだろう。メーカーの押しつけが無い柔軟な選択肢は、製品に対する自信の表れとも言える。
なお標準搭載モデルで採用される冷却ファンのスペック等については、各モデルの製品サイトでご確認頂ければと思う。
次に本稿で取り上げる3500X Tempered Glassのスペック表を確認しておこう。外形寸法は幅240mm、奥行き460mm、高さ506mmで、重量は8.6kgとされる。主素材はスチールで、副素材にプラスチックおよび強化ガラスを採用。そして対応マザーボードはE-ATX(305x277mm)、ATX、MicroATX、Mini-ITX。ザッとこれが3500Xの履歴書だ。
CORSAIR「3500X Tempered Glass White」(型番:CC-9011277-WW) 市場想定売価税込15,980円前後(2024年8月2日発売) 製品情報(CORSAIR) |
ちなみに検証に使用するのは冷却ファン非搭載のホワイトモデル。市場想定売価は税込15,980円前後とされ、ミドルタワーPCケースとしては普及価格帯だ。もはやピラーレスデザインPCケースは特別な存在ではなく、ごく一般的な選択肢になっている。なるほど究極の魅せるPCが構築できるベースとして、未だ高い人気がある事は十分に理解できる。
なお、外装パッケージサイズは幅322mm、奥行き572mm、高さ541mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は10.27kg。ミドルタワーPCケースとしては一般的だが、店頭購入による持ち帰りにはカートの用意が無難だろう。