エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1448
2024.08.14 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
テストセッションのラストは消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「Cinebench 2024:10 minutes」実行時の最高値を採用している。
まずアイドル時の消費電力を確認すると、省電力機構が有効になるためRyzenシリーズでは大きな違いはなし。また第14世代Intel Coreプロセッサに比べると全体的に高めになっているのは、2基のチップセットを搭載するAMD X670Eマザーボードを使用しているのが理由。AMD B650E/B650のようなシングルチップセットのマザーボードを使えばアイドル時の消費電力を抑えることができるだろう。
続いて高負荷時の消費電力を確認すると、Ryzen 9 9950XはRyzen 9 7950Xより8.2W増加しているものの、パフォーマンスを考慮すれば全く問題にならないレベル。またRyzen 9 9900XはRyzen 9 7900Xよりも18.5W低く、TDPほどの差ではないが明らかに消費電力は削減されている。さらに第14世代Intel Coreプロセッサとの比較ではRyzen 9 9950XとCore i9-14900Kで90.1W、Ryzen 9 9900XとCore i7-14700Kでは118.5Wも低い数値で、Zen 5のワットパフォーマンスはハイエンドモデルでもかなり優秀であることがわかる。
またCPU温度を確認するとRyzen 9 9900Xは75.2℃、Ryzen 9 9950Xでも82.6℃で、Ryzen 7000シリーズに比べると8~9℃も低下している。特にRyzen 9 9900Xは最近のハイエンドCPUとしてはかなり控えめで、ミドルレンジクラスの空冷クーラーでも十分に賄うことができるだろう。
先日検証を行ったRyzen 7 9700X/5 9600Xは、いずれもTDPが65Wと控えめなことから、シングルスレッド性能は大幅に向上したものの、マルチスレッド性能については微増だった。一方、今回の主役であるRyzen 9 9950X/9900XではTDPが120W以上に設定されていることもあり、シングルスレッド性能はもちろんのこと、マルチスレッド性能も先代から順当に向上している。
さらにコア数では上回る第14世代Intel Coreプロセッサに対しても多くのベンチマークで同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮。ゲーム性能も優秀で、フラッグシップモデルのRyzen 9 9950Xは現行のコンシューマ向けCPUでは間違いなく最高峰と言って差し支えないだろう。
また消費電力についてはRyzen 7 9700X/5 9600Xのときのような劇的な変化はないものの、発熱は確実に低下しており、冷却のハードルはぐっと下がっている。これまでハイエンドCPUを使っていて、冷却に苦労していたユーザーにとっては、Ryzen 9 9950X/9900Xはまさに待望の製品になるだろう。そして、より高いゲーム性能が期待できる大容量キャッシュを搭載したX3D版のRyzen 9000シリーズの早期登場にも期待したい。
協力:AMD