エルミタ的「編集部で使ってみた」
2024.09.08 更新
文:撮影・pepe
パフォーマンステストにあたり、Blackmagic Disk Speed Testを実行するPCには、Apple M1チップを搭載する13.3型サイズのMacBook Airを用意。さらに、USB 3.2 Gen 2×2に対応するType-C拡張カードを増設したWindows機でCrystalDiskMark等を実施する。
テストに使用したMacBook Airでは、Blackmagic URSAシリーズで収録可能な12K DCIのファイルも扱うことができる |
参考までにBlackmagic Disk Speed TestでMacBook Air(M1/2020)の内蔵ストレージパフォーマンスを計測したところシーケンシャル読込は2,832MB/s、書込は2,308MB/sとなっており、12K DCI(12,288×6,480)といった超高解像度のデータも扱うことが可能だ。1TBの「P31 External SSD」を付属のType-Cケーブルで接続して計測したところシーケンシャル読込は856MB/s、書込は1,366MB/sとなり、24fpsまでならBRAW、ProRes、H.265といった主要コーデックのすべてで8Kデータを扱うことができる。ただし本来ならThunderboltとUSB 4互換のポートであるため、公称値に近い数値が出なければならないが上手くいかない。
手持ちのMacBook AirだとBlackmagic Disk Speed Testでは公称値のシーケンシャル読込1,000MB/sに届かない |
続いてASMedia ASM3242コントローラを搭載し、USB 3.2 Gen 2×2に対応するType-C拡張カードを増設したWindows機でパフォーマンスを確認する。はじめに「AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247」のシーケンシャル読込は1,022MB/s、書込は816MB/s、総合スコアは1,021ポイントで、読込は公称値通りのスコアを記録した。また、「Compression-Benchmark」を確認すると、読込は極めて安定しており、圧縮率の影響を受けていないことが分かる。
Windows機では公称値のシーケンシャル読込1,000MB/sを達成する |
圧縮率の影響を受けない安定したシーケンシャル性能を発揮する |
「CrystalDiskMark 8.0.4」のデータサイズの違いによるパフォーマンスでは、シーケンシャル読込は公称値となる1,000MB/sを超え、書込では800MB/s弱となった。データサイズが大きくなると全体的に少しスコアは低下するが、ほぼ誤差レベルで一貫したパフォーマンスを発揮していることが分かる。
1GiB(MB/s) | 2GiB(MB/s) |
4GiB(MB/s) | 8GiB(MB/s) |
16GiB(MB/s) | 32GiB(MB/s) |
64GiB(MB/s) |
「ATTO Disk Benchmark 4.01」でファイルサイズによるシーケンシャルを比較したところシーケンシャル書込は256MBで約975MB/s、32GBでは約760MB/sで、ファイルサイズが大きくなるとややスコアが低下する。ただし、シーケンシャル読込はどちらも1,000MB/sを超えて安定している。
ファイルサイズの小さいデータではシーケンシャル書込も1,000MB/sに迫るが、大きなデータでは800MB/s弱程度に収まる |
ミラーレス等で外部収録に使うSSDは、カメラリグに取り付けたクリップやクランプで小型SSDを固定。あるいは外部収録に対応したフィールドモニターにHDMIを接続してSSD収録というのが良くあるパターンで、1/4″ネジ穴で自在に固定できる「P31 External SSD」は貴重な存在だ。内部のSSDを交換可能なエンクロージャータイプならネジ穴のついた製品もあったかもしれないが、「P31 External SSD」ほど堅牢かつコンパクトな外部SSDはこれまでなかった。
そして、筐体が小さいミラーレスカメラなどでは、高速なメモリカードを使用すると温度が上昇して、冬場でもカメラが熱で停止することがある。またクリップやクランプといったパーツを必要としないため、機材点数の削減や軽量化にも貢献しており、特にバランスや積載重量で制限のあるジンバル運用では、カメラの中心に近い位置で固定できるのも嬉しい。
筆者はソニーのデジタル一眼カメラ「α7R V ILCE-7RM5」を愛用しているが、取り付けは可能なものカメラ側で「P31 External SSD」は認識できなかった |
あえて難癖をつけると、より高速な任意のM.2 SSDを使えないことにあるが、今回のテストではそもそも20Gbpsの帯域をしっかり確保できる環境の構築に苦労した。最新のノートPCならThunderboltやUSB 4といった高速なインターフェイスを標準装備している製品も多い。しかし、既存のPCではレーン数の制限などからこれらのインターフェイスの増設自体が難しく、最新システムへの入れ替えが必要になることもある。USB 3.2 Gen 2×2は現実的に運用できる現時点での最適解なのかもしれない。
注意点としては、手持ちのカメラがType-C接続での収録に対応しているか否か。メーカのQVLリストを見る限り、Panasonic「LUMIX S5IIX」やSIGMA「fp L」、Blackmagic Designのプロ仕様向けカメラなど、現時点での対応機種は限られている。おそらくカメラ側にUSBホスト機能が無いものは記載されていないため、購入の際には事前確認は必須だ。