エルミタ的「編集部で使ってみた」
2024.09.08 更新
文:撮影・pepe
ベンチマークテストに使用するPCは先ほど同様にApple M1チップを搭載する13.3型サイズのMacBook Airと、USB 3.2 Gen 2×2に対応するType-C拡張カードを増設したWindows機だ。
Blackmagic Disk Speed Testで1TBの「PD20M Mag Portable SSD」を付属のType-Cケーブルで接続して計測したところシーケンシャル読込は856MB/s、書込は1,292MB/sとなり、iPhoneでの外部収録を意図した製品だが24fpsまでならBRAW、ProRes、H.265といった主要コーデックのすべてで8Kデータを扱うことができる。こちらも公称値に近い数値が出ないため、Windows機で同様にベンチマークテストを実施した。
PD20M Mag Portable SSDもMacBook AirだとBlackmagic Disk Speed Testではシーケンシャル読込・書込とも公称値2,000MB/sに届かない |
はじめに「AS SSD Benchmark 2.0.7316.34247」によるパフォーマンスを確認するとシーケンシャル読込1,918MB/s、書込1,717MB/sで、USB 3.2 Gen 2×2接続のSSDらしいスコア。また圧縮率の影響を確認すると、読込は安定しているが、書込はブレ幅がかなり大きい。とは言え、圧縮率の影響はないようだ。
Windows機ではシーケンシャル読込1,918MB/s、書込1,717MB/sで公称値目前まで迫る |
シーケンシャル書込は約700MB/sほどのブレがある |
「CrystalDiskMark 8.0.4」のデータサイズの違いによるパフォーマンスでは、シーケンシャル読込は公称値となる2,000MB/sを超え、書込は最大で1,863MB/sを記録した。また、読込は一貫した転送速度を保っているが、書込はデータサイズが大きくなるほどスコアの低下が顕著で、32GiB以降は360MB/sまで落ち込んでしまう。
1GiB(MB/s) | 2GiB(MB/s) |
4GiB(MB/s) | 8GiB(MB/s) |
16GiB(MB/s) | 32GiB(MB/s) |
64GiB(MB/s) |
「ATTO Disk Benchmark 4.01」でファイルサイズによるシーケンシャルを比較したところ書込は256MBで約1.7GB/s、32GBでは約350MB/sで、こちらもサイズが大きくなると低下する。一方で、読込はどちらも1.9GB/sを超えており、転送は安定している。
ファイルサイズの大きいデータでは書込速度の低下が著しい |
データサイズが大きくなると極端に書き込みが低下する性質を持つが、ProResを外部収録する際の10Gbps以上のデータ転送とシーケンシャル書込220MB/s以上という要件は十分クリアしているので、iPhoneの外部ストレージとして本来の使い方をすれば全く問題ない。ただし収録した動画データを移動せずに「PD20M」内でプロキシ変換したり、編集する場合は注意が必要かもしれない。
MagSafe対応の薄型ケースなら、背面からそのまま取り付けることもできる |
iPhoneで本格的な撮影をする際に、アクセサリの取り付けが可能な一体型のケースやリグを使うこともあるかもしれない。注意点としては一体型のケース、とくに作りがしっかりしているものではMagSafeの吸着が弱くなる可能性がある。また一部のリグではiPhoneの側面を挟み込んで固定するタイプやMagSafeを使って保持するタイプがあるため、そもそもMagSafeが使えなくなる可能性がある。Team Groupでは「PD20M Mag Portable SSD」の使用に関して、iPhoneを裸の状態でMagSafeに取り付けることを推奨しているため、これらサードパーティのアクセサリを使う際は、取り付け方法やMagSafeの扱いについて確認したほうが良いだろう。
接続するだけで外部ストレージとして認識される |
特別な設定やフォーマット等は必要なく、iPhoneに接続するだけでファイルアプリにアイコンが表示され外部ストレージとして認識。またカメラアプリでProResの4K/60fpsを選択すると、自動的に外部ストレージである「PD20M」にデータが保存される。
iPhoneのメディアバックアップはクラウドをはじめMacやPCなどの選択肢もあるが、大容量の動画データの保存も含めるとクラウドのサブスクリプションは割高になりやすい。またモバイル全盛期の昨今わざわざMacやPCにバックアップするのは面倒だと感じるユーザーもいるかもしれない。その点「PD20M Mag Portable SSD」なら手のひらサイズかつケーブル1本で簡単に1TBの容量を確保し、ストレージを圧迫する写真や動画ファイルを転送すれば、サブスクリプションに頼ることなく面倒なファイル管理から解放されるだろう。
協力:Team Group