エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1455
2024.09.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にC7 ARGBの内部構造に迫る。ピラーレスデザインPCケースだけに、フロントと左サイドに採用される2面の強化ガラスは工具不要で取り外しが可能。270°パノラマビューならぬ”270°開放状態”にする事ができる。見映え重視の設計は功を奏し、開口部が広く組み込み作業がしやすい点が大きなメリットになっている。一方で強度を確保する必要性から、トップパネルは開放状態にできない。
内部構造チェックは左側面のみならず、右側面にも重要なチェックポイントが散見している。特にC7 ARGBの右サイドパネルを取り外すと、マザーボードトレイ背面には2枚の開閉扉を装備。両者は観音開きのスタイルで、裏配線スペースのケーブルを閉じ込める役割を果たしている。なお左扉は「FLIP CABLE COVER」、右扉は「FLIP DOOR STORAGE」と名付けられた。詳細については改めて解説しよう。
本来であれば少しでもスペースを確保したいマザーボードトレイ裏手に、敢えて2枚の開閉扉を装備 |
左扉「FLIP CABLE COVER」と右扉「FLIP DOOR STORAGE」。シャーシ側のピンに筒状のパイプを挿し込むと蝶番になり、開閉できる仕組み |
左側面に戻り、マザーボードトレイから確認していこう。トレイ面には出荷時より合計9本のスタンドオフ(マザーボード用台座)が装着済みで、うち中央の1本だけ段差付きが採用されていた。なお対応マザーボードにE-ATXの記載も確認できるが、幅はフルサイズの330mmではなく、272mmまでの制限が付けられている。
次に右側面から2枚の開閉扉を外し、マザーボードトレイ背面を見ていこう。C7 ARGBは合計4基の冷却ファンが標準で装備するため、裏配線スペースには既に多くのケーブルが配線されている。とは言え、標準の面ファスナーやハブ(ARGB & PWM controller)により、ケーブル類は整然と処理されていた。出荷時の配線レイアウトは、組み込み時におけるひとつの参考になるかもしれない。
そして触れておかなければならないのが背面コネクタマザーボードの対応だ。現在、ASUS BTF(Back-To-the-Future)、MSI Project Zero、GIGABYTE PROJECT STEALTHがその対象となり、要所にはケーブルマネジメント用スルーホールに紛れ、背面コネクタ露出用の開口部が確認できる。ちなみに裏配線スペースは公称32mm。件の「FLIP CABLE COVER」「FLIP DOOR STORAGE」も装備されている事から、背面コネクタマザーボードの導入は容易ではない事が想像できる。
C7 ARGBのボトムカバーはパッと見で開口部がなく、前方から後方まで全てが覆われている。天板部は三角形をモチーフにした通気孔仕様で、ケーブルマネジメント用のグロメット付きスルーホールや、複数のネジ穴も確認できる。また内部は電源ユニットとストレージ搭載エリアに割り当てられている。なおボトムカバー内部高を計測してみると、約100mmだった。
電源ユニット搭載スペースは、ボトムカバー内部後方エリア。設置面には弾力性に優れるEVA樹脂(エチレン酢酸ビニル)製のクッションが装着されている。ちなみに電源ユニットの有効スペースは、公称で長さ210mmとされる。あくまで参考値ながら、サイドファンが装着されているプレートまでの距離を測ると約280mmだった。
電源ユニットは後方の枠にネジ留めを行う”後方スライド式”を採用。組み込みセッションでも解説する |