エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1462
2024.10.04 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは「X870E Taichi」の備える機能や注目の部位を個別にチェックしていこう。まずはフラッグシップらしい大規模な回路を備えた電源周りだ。
大型のヒートシンクに守られた「X870E Taichi」の電源周りをチェック |
電源モジュールは、ハイサイド・ローサイドのパワーMOSFETとドライバICを1チップに統合したDr.MOSの上位版(温度・電流センサーを追加)と言える、110A対応のSmart Power Stage(SPS)を採用。それを24(VCORE)+2(SOC)+1(VDD MISC)フェーズ構成で実装し、CPUに高精度で安定した電力を供給する。
そして高品質コンデンサの「20Kブラックコンデンサ」が従来から改良された点も大きなトピックだ。1,000uFという大容量ながら小型化を実現した特別製で、リップルノイズを大幅に抑制。さらに105℃環境でも20,000時間という耐久性を備え、メーカー担当者いわく「より現実的な水準である85℃環境なら20年以上もつ」という長寿命が、電源回路の耐久を大きく引き上げている。
24+2+1フェーズ構成の電源回路を搭載。110A対応のSPSやプレミアムチョークコイルなど、高品質なコンポーネントが採用されている |
アップグレードされた「20Kブラックコンデンサ」は電源回路の主要な強化ポイント。大容量ながら小型化したコンデンサを特注、ほぼ変わらないサイズ感で実装している |
電源回路に実装されていたPWMコントローラルネサス「RAA229628」 | CPUソケットはLGAタイプのSocket AM5で、最新のAMD Ryzen 9000シリーズに対応する |
「X870E Taichi」が搭載するチップセットは、Ryzen 9000シリーズに対応する最新の上位チップ「AMD X870E」だ。前世代のAMD X670Eとスペック的には近いものの、最大40Gbpsの高速インターフェイスであるUSB4を正式サポートする点が大きな違いと言える。
チップセット用ヒートシンクには、お馴染みのシリーズロゴとギアのデザインがあしらわれている。M.2ヒートシンクと一体化し、マザーボード下半分を覆う形状だ |
さらにグラフィックスカードおよびM.2 SSDの両方でPCI Express 5.0をサポートし、24レーンのPCI Express 5.0をはじめ全44のPCI Expressレーンを備える構成。CPUおよびメモリのオーバークロックにも対応する。
ちなみにAMD X870Eはデュアルチップセット設計になっており、シングルチップ構成のAMD X870に比べPCI Expressレーン数やUSB・SATAポート数が強化されている。
AMD X870Eは同じチップが2基実装されたデュアルチップ構成を特徴とする。これは前世代のAMD X670Eと同様だ |
メモリスロットは最大8,200MHzのオーバークロックメモリをサポートするDDR5×4を搭載。サーバーグレードの低損失8層PCBにSMT(表面実装技術)でスロットを実装、さらにメモリ回路の最適化により安定した信号を伝送し、高クロック動作を可能にしている。なお、メモリプロファイルはIntel XMPおよびAMD EXPOをサポート。タイミングや電圧設定不要でオーバークロック設定を適用できる。
スロットナンバーはCPUソケット側からDDR5_A1/A2/B1/B2の順に並んでおり、デュアルチャネル運用の際はDDR5_A2/B2を使用する |
インタラクティブUEFIには、DDR5-3200からDDR5-16000までのメモリプロファイルが用意されていた |