エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1463
2024.10.07 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、「CLICK BIOS X」に実装された1クリックオーバークロック機能「Game Boost」を試していこう。なおメモリクロックについては8,000MHzに設定したままで検証を行っている。
「CINEBENCH」系のシングルコアテストについては、いずれのベンチマークでも最高クロックに変化がないためスコアはほぼ横並び。一方で、マルチコアテストについては最も差が小さい「CINEBENCH R15」で約4%、最も差の大きい「CINEBENCH R23」では約8%もスコアが上昇し、動画や画像の編集、3Dレンダリングといったマルチスレッド処理ではその恩恵を受けることができる。
また「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」では、シングルスレッド処理の影響が大きいこともあり、スコアに大きな違いは出なかった。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
「Game Boost」を有効にするとPackage Powerは約60Wも上昇するが、MOSFETの温度は最高でも71℃で頭打ち。堅牢な電源回路と、ヒートパイプで連結された2ブロック構成の大型ヒートシンクにはまだ余力が残されており、さらなるオーバークロックにも対応してくれるだろう。
AMD X870E/X870チップセットの機能は、USB4以外にAMD X670E/X670から大きな違いがないこともあり、各メーカーとも独自機能、特に組み立てやすさや利便性を訴求した製品を数多くラインナップしている。
これは「MPG X870E CARBON WIFI」でも同様で、トグルボタン式の「EZ PCIe Release」や、ツールフリーの「EZ Magnetic M.2 Dhield Frozr II」、押し込むだけでM.2 SSDを固定できる「EZ M.2 Clip II」といった「EZ DIY」設計により、これまでPCを組み立てる上で“面倒だな”と感じていた部分はかなり解消されている。
また電源回路についても110A SPSの採用により従来モデルから強化され、Ryzen 9 9950Xの定格動作はもちろん、約60W以上消費電力が上昇する「Game Boost」でも全く問題なし。8,000MHzを超える高クロックメモリの対応と合わせて、これまで以上に高性能なPCを構築できるようになった。
そしてアッパーミドルクラスでは最高峰の3系統のネットワーク機能や、USB4による高速ストレージに対応する「MPG X870E CARBON WIFI」は、単純なチップセットの変更にとどまらない、最新世代にふさわしいゲーミングマザーボードの秀作だった。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社