エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1465
2024.10.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ASUSの独自機能AEMPを使えば定格駆動のメモリを使用している場合でも、最適なメモリプロファイルが表示され、簡単にオーバークロックできる |
「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」では、AMD EXPOに加えて、実装されているメモリのチップを自動的に検出して最適なプロファイルを表示する独自機能AEMPに対応する。これにより、コストを抑えるためJEDEC準拠のDDR5-4800メモリを流用するような場合でも、簡単にメモリクロックを引き上げることができるわけだ。そこで、今回はKingstonのDDR-4800メモリ「KVR48U40BS8K2-32」を使ってAEMPによるオーバークロックを試してみることにした。
DDR5-4800動作 | DDR5-5200動作 |
DDR5-6000動作 |
AEMP機能を使用したところ本来はDDR5-4800(40-39-39-77)駆動の「KVR48U40BS8K2-32」を、1クリックでDDR5-5200(38-38-38-82)で動作させることができた。OSの起動やベンチマークの動作も問題なく、まる1日動かしてみたが動作が不安定になることもなかった。そこで、続いてパフォーマンスを検証してみることにした。なお比較対象として定格のDDR5-4800(40-39-39-77)と、DDR5-6000(48-48-48-96)のCrucial「CP2K24G60C48US」でもテストを行っている。
「AIDA64 Cache & Memory Benchmark」の帯域幅を確認すると、DDR5-4800とDDR5-5200ではReadで約10%、WriteとCopyで約9%の差がついた。またDDR5-6000との比較では、DDR5-5200のほうがメモリタイミングが高速なこともありReadで約10%、WriteとCopyではその差は約7%にとどまる。そしてメモリレイテンシを確認すると、DDR5-5200が最も高速で、DDR5-4800との比較では約90%、DDR5-6000との比較でも約93%に短縮された。
さらにメモリの影響が大きいゲーム「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」のスコアを確認すると、4K解像度ではスコアはほぼ横並び。ただし、WQHD解像度やフルHD解像度ではDDR5-5200がいずれも最も高いスコアを叩き出しており、初期のDDR5メモリを流用する場合はAEMP機能を試してみるといいだろう。
ASUSのAMD X870マザーボードでは、最も安価な製品ということもあり、上位モデルに比べるとWi-Fi 7の帯域幅が160Hzに制限されている他、グラフィックスカードの取り外し機能を始めとした「Q-Design」や、M.2ヒートシンクの冷却性能など明らかにコストダウンの影響がある。特にM.2 SSDのツールレス機構「M.2 Q-Release」は便利だっただけに、「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」で省略されてしまったのは残念だ。
一方で、電源回路については使用しているMOSFETは違うものの、フェーズ数はほぼ同等。2ブロック構成のヒートシンクや8層PCBによる冷却システムも優秀で、定格での運用はもちろん「AI Optimized」によるオーバークロックでもびくともしなかった。
そして帯域幅40GbpsのUSB4や、PCI Express 5.0接続の拡張スロット・M.2スロットなど、インターフェイス周りにも大きな違いはないことから、「Q-Desing」の機能に多少妥協してでもコストを抑えたいなら「TUF GAMING X870-PLUS WIFI」、利便性を追求したいのであればより上位の「ROG STRIX」シリーズを選択するといいだろう。
提供:ASUS JAPAN株式会社