エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1467
2024.10.17 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは構成パーツをかき集め、Era 2をベースに組み込み作業を進めていく。マニュアルを見る限り、一般的なミドルタワーPCケースとは違ったモデル特有のルールが存在する。手慣れた自作派ほどスキップしがちだが、ともすれば構成パーツ選定の段階から理解が必要なシーンがある。ここでは組み込み作業における注意点や、組み込み後の周辺クリアランス、マニュアルに記載されている”特記事項”の実際など、より詳しく解説を進めていく。
Mini-ITX規格のマザーボードには、ASRock「B760M-ITX/D4 WiFi」を用意した。可動式マザボードトレイ(Movable Spine Configuration)には、予め4本のスタンドオフが装着済み。ここに付属のMounting Screw (UNC 6-32)を使い、ネジ留めを行う。
右側面の開口部から見ると、マザーボードは後方の中下段エリアにマウントされる事が分かる。170mm四方の基板は小型だけに、筐体内部には空きスペースが目立ち、まさに組み込み作業が始まったばかりといった様相。構成パーツを組み込むにつれ、それらは徐々に埋められていく。
マザーボードを固定した後は、ライザーケーブルをPCI Expressスロットに接続。ボトム部標準搭載ファンとの距離感も念のため目視しておく |
次にCPUクーラーについて解説しよう。搭載テストに用意したのは全高65mmのトップフロー型CPUクーラー、Noctua「NH-L9x65 Chromax.black」。小型システム向けに開発されたロープロファイル仕様で、NoctuaカラーではないChromaxバージョン。ちなみに外形寸法は幅95mm、奥行き95mmで、注目すべきは高さ65mmだ。
NH-L9x65 Chromax.blackをチョイスすることで、可動式マザボードトレイの設置ポジションは(1)を選択しなければならない。これに比例して各構成パーツの有効スペースも変わるワケだが、その具体的な数値については作業を進めながら解説する。
NH-L9x65 Chromax.blackを設置ポジション(1)に搭載すると、数値上での残りスペースは5mm。側面は通気孔だけに吸気への影響は最小限で済むだろう |
なおマニュアルでは、マザーボードをネジ留めする前の段階でCPUクーラー(およびメモリ)は搭載しておくように記載されている(P.20)。これには理由があり、可動式マザーボードトレイのカット(実測で幅約135mm、高さ約140mm)は一般的なPCケースのようなCPUクーラーメンテナンスホールとしての役割は不十分で、マザーボード上のCPUクーラーマウントホールが完全に露出できない。
マザーボードを搭載した状態の可動式マザーボードトレイ背面 |
一見ライザーケーブルが邪魔をしているように見えるが、実際にはフレーム部がCPUクーラーマウントホールに被さる格好で、先にマザーボードを固定するとバックプレートを使うCPUクーラーはまず搭載ができない。ここはマニュアル通りの手順に従うしか方法はない。なおこの作業が完了した後は、標準装備品となる冷却ファンの電源コネクタ接続と、2 x 2.5” Bracketへの2.5インチSSD搭載作業を行う。
出荷時はロゴ入り面ファスナーで束ねられた冷却ファン用の電源ケーブル。マザーボードへの接続が済むと、次は2.5インチSSDの固定作業になる |