エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1468
2024.10.25 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
映画「Avatar」シリーズをベースにしたオープンワールドゲーム「Avatar: Frontiers of Pandora」のゲーム内ベンチマークのスコアも確認しておこう。「グラフィック品質」は“ウルトラ”、「テンポラルアップスケール」は“Nvidia Deep Learning Super Sampling”、「スケーリング品質」は“バランス”に設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を実施した。
グラフィックスカードの影響が大きい4K解像度やWQHD解像度はもちろん、これまでのテストでは差が出ていたフルHD解像度でもスコアはほぼ横並び。今回のCPUであれば、どれを使っても同等のパフォーマンスが期待できる。
ゲーム系ベンチマークのラストは、オープンワールド型アクションRPG「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」のゲーム内ベンチマーク結果を確認していこう。「クイックプリセット」は“レイトレーシング:オーバードライブ”、「DLSS Super Resolution」は“バランス”、「DLSS Ray Reconstruction」は“オン”、「DLSS Frame Generation」は“オン”に設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を行っている。
グラフィックスカードの負荷が高い4K解像度やWQHD解像度では大きな違いは出ていない。ただし、フルHD解像度では第14世代Intel CoreプロセッサやRyzen 9 9950XよりもCore Ultra 9 285Kで約6%、Core Ultra 7 265Kでは約9%低い結果になった。「F1 24」でもそうだったが、処理の重いゲームでスコアが伸び悩む傾向なのは残念なところだ。
テストセッションのラストは消費電力を確認していこう。なお「Cinebench 2024」は「Cinebench 2024:10 minutes」実行時の最高値を、各ゲームはフルHD解像度でテストを実行した際の平均値を採用している。
まず「Cinebench 2024」実行時の消費電力を確認すると、第14世代Intel Coreプロセッサに比べてCore Ultra 9 285Kは約60W、Core Ultra 7 265Kは約80Wも低下している。ただし、省電力性が大きく向上したRyzen 9000シリーズに比べると全体的に高めになった。
またゲーム中の消費電力だが、Core Ultra 9 285KはCore i9-14900Kより35~46W、Ryzen 9 9950Xとの比較でも同等か約20W低くなった。さらにCore Ultra 7 265KはCore i7-14700Kより60~70W低下し、ゲーム中の電力効率はかなり優秀だ。
Intel CPUのテスト中の最高温度を確認してみたところ、「Cinebench 2024」では第14世代Intel Coreプロセッサがいずれも最高86℃まで上昇するのに対して、Core Ultra 9 285Kは最高79℃、Core Ultra 7 265Kは最高77℃で、温度は確実に低下している。
またゲーム中の温度については、CPUの負荷が軽い「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」や「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」では、その差は最大でも2℃しかなく、誤差の範囲と言っていいだろう。ただし、CPUの負荷が高い「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」では、Core i9-14900Kが69℃、Core i7-14700Kも65℃まで上昇するが、Core Ultra 9 285Kは61℃、Core Ultra 7 265Kは57℃で、明らかに温度が低くなっている。
IntelのデスクトップCPUでは初の3Dパッケージ技術「Foveros」や、NPUを内蔵するなど内部構造が大きく変更されたIntel「Core Ultra 200S」シリーズ。純粋なCPU性能は、シングルスレッド、マルチスレッドとも第14世代Intel Coreプロセッサを上回り、「CINBENCH」系では現行のコンシューマ向けCPUでは間違いなく最高峰の性能を発揮する。さらにこれまで苦手としていたBlenderやV-Ray系のベンチマークでもRyzen 9000シリーズにかなり肉薄できるようになった。
そしてゲーム性能についても「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」や「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」といった比較的負荷の軽いゲームでは良好な性能を発揮する。ただし、「F1 24」や「Cyberpumk 2077」といった重量級のゲームでは、第14世代Intel Coreプロセッサに逆転を許しているのは気になるところ。
ゲーム中の消費電力やCPU温度が低下しているのは評価できるポイントだが、このクラスのCPUを選択するユーザーにとっては、パフォーマンスのほうが重要という人も多いはず。現在第13/14世代Intel CoreプロセッサのゲーミングPCを使用しているなら、性能差があまりないことから積極的におすすめしにくいというのが正直な感想だ。一方で、第12世代もしくはそれ以前のCPUを使っている場合であれば、電力効率が改善して扱いやすく、各種最新機能も使用できるCore Ultra 200Sシリーズは良い選択肢になるだろう。