エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1469
2024.10.27 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
Intel Core Ultra 200Sシリーズでは、クロックドライバを搭載したCUDIMMに対応しているのも特徴。さらに「Z890 AORUS MASTER」では、「D5 Bionic Corsa」により、最大9,500MHzまでのメモリクロックへの対応が謳われている。そこでテストセッションのラストは、KingstonのCUDIMMに登録されていたIntel XMP 3.0プロファイルDDR5-8800設定での動作を確認してみることにした。
DDR5-4800動作 | DDR5-6400動作 |
DDR5-8800動作 |
第14世代Intel CoreプロセッサとIntel Z790チップセットの組み合わせでは、DDR5-8000を超えると途端に動作が厳しくなるが、「Z890 AORUS MASTER」とCUDIMMの組み合わせならDDR5-8800でもOSの起動、ベンチマークテストとも全く問題なかった。
続いて「AIDA64 Cache & Memory Benchmark」の帯域幅を確認すると、初期DDR5メモリの定格であるDDR5-4800に比べて、ReadやCopyでは50%以上、Writeでも40%以上も上回る。またIntel Core Ultra 200Sシリーズの定格であるDDR5-6400との比較でもReadやCopyは約20%、Writeも約12%高いスコアで、高クロックメモリを使用するメリットは大きい。またレイテンシもDDR5-4800の約73%、DDR5-6400の約87%に短縮されている。
そしてメモリクロックやレイテンシの影響が大きいゲーム「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」の結果を確認したところ、4K解像度では差がないものの、WQHD解像度やフルHD解像度ではDDD5-4800から約13%、DDR5-6400から約6%スコアがアップしている。「Z890 AORUS MASTER」とCore Ultra 9 285Kを組み合わせたハイエンドPCを構築するなら、低速なDDR5メモリを流用するのではなく、高速なものを新規に購入したほうがいいだろう。
メモリを冷却するオプションファン「DDR Wind Blade」の効果を確認してみることにした |
4pinファンヘッダのうち「SYS_FAN4」「FAN5_PUMP」「FAN6_PUMP」「FAN7_PUMP」「FAN8_PUMP」はメモリの温度で回転数を制御可能。今回は基板右上にある「FAN6_PUMP」に接続して、テストを実施した |
「DDR Wind Blade」なしのサーモグラフィ | 「DDR Wind Blade」ありのサーモグラフィ |
最後にメモリを冷却するオプションファン「DDR Wind Blade」の効果を確認したところ、DDR5-8800動作では「DDR Wind Blade」を取り付けるとメモリの温度は9.3℃も低下した。ファンのノイズも全く気にならないため、高速なメモリを使用する場合は必ず搭載しておくようにしよう。
GIGABYTEのIntel Z890チップセットマザーボードの中では最上位に位置づけられる「Z890 AORUS MASTER」だが、他社のフラッグシップに比べると電源回路のフェーズ数は合計21(18+1+2)フェーズとやや少なめだ。
ただし、110A SPSをはじめとした高品質パーツや、「D5 Bionic Corsa」による基板設計、そしてファンレスながら優秀な冷却性能を誇るヒートシンクのおかげで、Core Ultra 9 285KのMaximum Turbo Powerを超える設定でも常に動作は安定していた。手動オーバークロックで、さらに高クロックを狙うような場合でも電源の出力や冷却性能がボトルネックになることはないだろう。
また高クロックメモリの温度を効果的に下げることができる「DDR Wind Blade」や、爆熱のPCI Express 5.0(x4)SSDを効果的に冷やす「M.2 Thermal Guard XL」など、電源回路以外の冷却にも隙は見当たらない。
さらに10ギガビットLANや帯域幅320MHzのWi-Fi 7、2ポートのThunderbolt 4など高速インターフェイスをもれなく搭載している「Z890 AORUS MASTER」は、新世代のフラッグシップマザーボードにふさわしい秀作モデルだった。
提供:GIGABYTE TECHNOLOGY