エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1474
2024.11.15 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Cooler Master「X Silent Edge Platinum 850」(型番:MPS-8501-AZAP) 市場想定売価税込76,980円(2024年11月15日発売) 製品情報(Cooler Master) |
最初にコンセプトモデルと遭遇したのは、「COMPUTEX TAIPEI 2023」におけるメディア発表会でのこと。当時は750Wモデルが展示されていたところ、約1年半を経てさらなる大容量化を果たしたファンレス電源ユニット「X Silent Edge Platinum」シリーズとして発売されることになった。
【関連記事】COMPUTEX:ATX3.0/PCIe5.0対応のファンレスPLATINUM電源「X Silent」がCooler Masterから(2023.05.30 01:29 更新)
自作PCの黎明期より一定の需要を保ち続けてきたファンレス電源ユニットは、文字通り冷却ファンが存在しないことによる無音化が最大のテーマと言える。さらにホコリの混入や堆積を防ぐことができるというメリットもあるが、冷却面での制約が大きいことから、これまではせいぜいミドル構成向けの容量に留まってきた。
COMPUTEX TAIPEI 2023にて展示されていた750Wのコンセプトモデル。当時ですでに最大級の大容量だったところ、製品化にあたって850Wと1100W(230V)の2モデル構成に整理された |
さて今回主役として取り上げるのは、80PLUS PLATINUM認証を取得した850Wモデルの「X Silent Edge Platinum 850」。シリーズには230V環境向けの1100Wモデル「X Silent Edge Platinum 1100 230V」もラインナップされており、完全ファンレスの電源ユニットとして最大容量を大幅に更新することになった。もっとも100V環境の日本向けには、850Wモデルのみが展開されることになるだろう。
「X Silent Edge Platinum 850」内部のヒートシンク群とヒートシンク形状を採用したフレーム。大型受熱ベースとヒートパイプにより、PCB裏面からも積極的に放熱する構造になっている |
そして「X Silent Edge Platinum 850」の最大の特徴は、完全ファンレス運用を可能にした最先端のパッシブ冷却設計だ。”Heat Pipe Thermal Tech”とシンプルに呼称された、大型の受熱ベースとヒートパイプを組み合わせてヒートシンク形状の筐体で冷却するという、熱放散の特許技術が設計のキモになっている。
また、整流回路にInfineon製ICの「CoolMOS」を搭載する点もトピックの一つ。従来のブリッジダイオードに比べて効率を2%向上させたMOSFETで、発熱を抑えることにも大きく貢献している。これら注目の内部構造に関しては、後ほどの分解セッションにて詳しくチェックしていこう。
デザインまでもサイレントな「X Silent Edge Platinum 850」のパッケージ。裏面にも製品の簡単なスペック、コネクタ構成程度しか記載されていない |
なお、電源ユニットとしては最新規格のATX 3.1に準拠しており、PCI Express 5.1にもネイティブ対応。ケーブルタイプはフルモジュラー方式で、モジュラーケーブルはすべてエッチング加工が施されたスリーブ調ケーブルだ。従来の12VHPWRから信頼性を高めた12V-2×6コネクタを採用するなど、いずれも最先端の仕様で固められている。
そのほか、スペックシートにおけるMTBFは100,000時間以上。冷却ファンのような可動部品が存在しないことから、メーカー保証期間も異例の15年間に設定されている。
X Silentシリーズには、冷却ファンを追加した1300Wの大容量モデル「X Silent MAX Platinum 1300」(市場想定売価税込65,980円)もラインナップ。同じく2024年11月15日に発売が開始される |