エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1475
2024.11.17 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「Z890 Taichi」の「Power Delivery Profile」には、「Intel Default Mode」「ASRock Extreme Mode」「Intel Baseline Mode」の3種類のプロファイルが用意され、簡単にPower Limitの設定を変更することができる。そこで、プロファイルの違いによりパフォーマンスに変化があるのかチェックしていこう。なおメモリはDDR5-8000のままでテストを行い、ベンチマークには「CINEBENCH」系の4種類を使用している。
Intel Baseline ModeではPL1が125W、PL2が177W | Intel Default ModeではPL1が250W、PL2が250W |
ASRock Extreme ModeではPL1が4,059.9W、PL2が4,059.9W |
いずれの設定でもシングルコアテストについては、電力制限の影響が無いためスコアはほぼ横並びになる。またマルチコアテストは「ASRock Extreme Mode」を選択することで、「Intel Default Mode」からは約3~4%、「Intel Baseline Mode」からは約17~23%パフォーマンスが向上している。あくまでもCPUクーラーの冷却性能が十分ならという条件はあるものの、パフォーマンスが重要なハイエンド構成なら「Intel Default Mode」、もしくは「ASRock Extreme Mode」を選択したい。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
続いて「ASRock Extreme Mode」に設定した状態で、「Cinebench 2024」を10分間連続動作する負荷テストを実行してみた。Package Powerは300W前後、消費電力も「Intel Baseline Mode」からは130W以上、「Intel Default Mode」との比較でも約70W増加しているが、PWMコントローラの温度は最大51℃、Power Stageの温度も最大64℃で頭打ちになり、ファン付きヒートシンクの冷却性能はとても優秀だ。ファンのノイズもCPUクーラー(もしくはオールインワン型水冷ユニット)のほうがはるかに大きく、テスト中に気になることはなかった。
「Z890 Taichi AQUA」や「Z890 Taichi OCF」が加わったことで、よりフラッグシップとして厚みが増したASRockの「Taichi」シリーズ。その中でもやはり定番となるのは今回の主役である「Z890 Taichi」になるだろう。ハイエンドモデルらしく、5ギガビットLAN、2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 7の3系統のネットワークや、2ポートのThunderbolt 4、さらに「M.2 Expansionカード」が付属したことで合計9台のM.2 SSDに対応するなど、拡張性は他社のフラッグシップモデルと比較しても遜色ない。
また高品質なパーツで構成された堅牢な電源回路と冷却ファンを備えた強力な冷却機構により、Power Limitが実質無制限になる「ASRock Extreme Mode」でも安定動作が可能。さらに新技術「Memory OC Shield」のおかげで、高クロックメモリを使用した場合でも動作は安定しており、Intel Core Ultra 200Sシリーズの性能を限界まで引き出すことができる。
そしてIntel Z890チップセットのハイエンドモデルは軒並み税込10万円を超えるのに対して、「Z890 Taichi」は税込9万円台前半で購入できる価格設定も大きな魅力。コストを抑えつつ、最上位クラスの性能や拡張性が欲しいという欲張りなニーズにしっかりと応えてくれる1枚だ。
提供:ASRock Incorporation