エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1480
2024.11.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
国内正規代理店、株式会社リンクスインターナショナル(本社:東京都千代田区)より届けられたのは、Antecの最新フルタワーPCケース「FLUX PRO」だ。「DF600 FLUX」(2020年9月検証)からスタートしたFLUXシリーズはこれまで多くのモデルを排出し、AntecのPCケースファミリーの一員として広く認知されてきた。
第1弾モデル検証記事の冒頭でも触れているが、「FLUX」とはFlowとLuxuryを組み合わせた造語であり、主たるコンセプトはエアフローレイアウトの最適化とされる。システム全体の冷却構造を見直した独自設計を採用し、”未だ増殖中”である事を思えば、どっしりと腰を据えたAntecの主力シリーズのひとつである事は言うまでもない。
Antec「FLUX PRO」 市場想定売価税込31,980円(2024年10月12日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
そして今回取り上げる新製品は、Antecブランドのファンのみならず、認知度の高いシリーズ上位機種とあって注目に値する期待の大型新人。市場想定売価は3万円台と決して安価ではないだけに、熱心な自作派を納得させる”何か”が必要だろう。本稿ではFLUXシリーズのフラッグシップモデル、FLUX PROのブラック色を用意し、イマドキのハイエンドPCケースをしっかりと”査定”していく。
なおFLUX PROにはホワイト色も同時発売されている。市場想定売価ではブラック色より1,000円の価格差が付けられているが、製造におけるコストの違いを反映させた、正直な値付けと解釈したい。
Antec「FLUX PRO White」 市場想定売価税込32,980円(2024年10月12日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
初めてFLUX PROを見たのは「COMPUTEX TAIPEI 2024」に合わせてに行われた、プライベートブースによる「メディア向け内覧会」の会場でのこと。ひときわ目立つ大型PCケースのFLUX PROは、プロトタイプながらほぼ製品版の出来映えで、各国のメディアから注目を集めた。
中でも目をひいたのが、PCケースとしての真価を問われる設計ではなく、フロントパネルに採用された天然木素材。近頃では採用例を見かけるようになったが、額縁のように枠部分に使用した天然木はFSC(Forest Stewardship Council)認証による”適切な森林管理”に基づく森林資源を活用。サステナブルな企業活動もさりげなくアピールされている。
付属品収納ケースに同梱されていた、FSC(Forest Stewardship Council)認証を示すカード。「FSC Certificate code」と共に、素材の特性(模様)についての記述が確認できる |
Antec製PCケースといえば、デザイン性の良さから選択されることも。天然木の使用やさりげなく装飾されたロゴなど、主張したい箇所にも強弱を付ける意図を感じさせる |
展示機はARGBファンを搭載し、構成パーツもイルミネーションを前面に押し出すDIY水冷構成。しかし実際に販売される製品版は派手なイルミネーションを排除した、”いにしえのAntecの再現”といった様相で、量産モデルからやや軌道修正された感がある。果たしてこれが正解であったのかは市場の反応次第だが、発光系アイテムがやや食傷気味である事から、息の長い製品を目指すなら良い判断ではないだろうか。
実機に触れる前に、スペック表から製品の概要を確認しておこう。リンクスインターナショナルの製品サイトではミドルタワーと表記されているFLUX PROだが、Antecではフルタワーにカテゴライズされている。この切り分けは相変わらず微妙で、ハッキリした基準はない。
では各数値を見ると、外形寸法は幅245mm、奥行き530mm、高さ545mmで、ミドルタワーPCケースの目安である500mmを奥行きおよび高さで優に超している。これらを見るとやはりフルタワーとみていいだろう。
主素材はスチールで、副素材にプラスチックおよび4mm厚強化ガラスを使用。重量は約13.6kgとされる。なお対応フォームファクタは制限付きながらE-ATX(285mm)を筆頭に、ATX、MicroATX、Mini-ITXの各規格に対応する。
その他詳細については、各セッションで解説していこう。ちなみにパッケージサイズは幅347mm、奥行き623mm、高さ649mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は約16.65kgになる。店頭購入での持ち帰りにはカートを用意しよう。