エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1480
2024.11.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
全高190mmまでのCPUクーラー有効スペースに、高さ48.5mmのポンプ一体型ウォーターブロックを備えるオールインワン型水冷ユニットAntec「VORTEX360 ARGB」を搭載してみる。ラジエーターはいわゆる360mmサイズで、実際には幅120mm、長さ397mm、厚さ27mm(+冷却ファン厚25mm)で、これをトップパネルのRemovable Top Cooling Bracketに搭載。数値上では420mmサイズまでがサポートされているだけに、どこをとっても空きスペースを確保した状態でマウントできる計算だ。
VORTEX360 ARGBの組み込み易さはさておき、組み込み作業自体は
が取り外した状態でラジエーターがネジ留めできるので、ストレスなく進める事ができる。ポンプ一体型ウォーターブロックもまずは天板開放状態で取り付けを完了させ、後はRemovable Top Cooling Bracketをシャーシに戻すだけ。要所のスルーホールを使い、複数におよぶ冷却ファンケーブル(+ARGB用ケーブル)を裏配線スペースへレイアウトすれば、難なく作業は完了できた。
ラジエーター(冷却ファン)固定用ネジ穴はスリットタイプ。360mmサイズなら前後にまだ余裕があるため、任意のポジションで固定ができる |
なおARGB & PWM FAN CONTROL HUBには、ARGBコネクタに5つの空きがあるため利用が可能。物理スイッチによりイルミネーションの制御がしたければ、VORTEX360 ARGB付属のARGBコントローラーを使い、Mode Controlボタンで切り替えができる。
FLUX PROのように天板が外れ、内部容積が広いと拍子抜けするほど作業を滞りなく完了できる。設置場所の制約や、そもそも大型PCケースは不要という考えもありつつ、組み込みのしやすさもモデル選定には重要な要素である事を付け加えておきたい。
最後にグラフィックスカードを搭載してみよう。搭載テストにはNVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を用意した。外形寸法は幅137mm、長さ304mm、厚さ61mmで、3スロットを占有。重量はエルミタ検証時の実測で2,183gだった。
搭載方法はシンプルで、3つのスロットにハンドスクリューでネジ留めするだけ。ちなみに重量級グラフィックスカードを支えるサポート機構は用意されていない。
NVIDIAのハイエンドとは言え長さは約300mmだけに、最大455mmの拡張カードスペースからはさほど大きさを感じさせない。実際に搭載後、グラフィックスカード末端からフロントパネル裏側までの空きスペースは、実測で約160mm弱といったところだった。
ちなみにPSU Shroud上に標準装備される2基のR12 Reverse PWM Fanのうち、後方側はGeForce RTX 4090 Founders Editionの下に入り込み、前方側はPCケース上方に抜けていく位置関係になった。
これまで歴代FLUXシリーズを複数台触れてきた。その中で最も大型なFLUX PROは、広い内部容積により各構成パーツは十分な居住スペースが割り当てられ、窮屈さを感じさせないゆったりとしたPCが構築できる事が分かった。
メーカー資料や製品サイトを見ても、Antecが提唱する独自エアフロー思想の「FLUX」があまり前面に押し出されていない。とは言え、構築後の内部空間のゆとりは風の流れを妨げず、理想的なエアフローレイアウトを実現している。大型PCケースの強みは組み込み易さであり、構築後の内部空間がもたらすエアフロー効率を最大限に発揮できること。これからもFLUXシリーズは進化を続けると思われるが、最上位機種のリリースで”一旦完成”と言った所ではないだろうか。これらはFLUX PROの「○」の部分と言えよう。
さて「×」な部分だが、必然的に重くなることで「移動がタイヘンだった」は製品の善し悪しではないのでさておき。若干気になったのは、トップパネルおよび右サイドパネルの剛性だ。特に右サイドパネルは表面積が広いだけにやや捻れる感覚があり、ロック機構の脱着がスムーズに行かない。板を厚くすれば重量が増すだけに、この按配は難しいところ。また左側面にある通気孔仕様のSteel Mesh Left Panelが外れやすく、ここも多少気になった。
いずれも重箱の隅をつつくような話だから、マイナスポイントと言うには気の毒だろう。「×」よりも「△」といったところか。
提供:Antec
株式会社リンクスインターナショナル