エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1480
2024.11.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
外観周りにつづき、内部構造を順に見ていこう。そもそもFLUX PROは、ピラーレスPCケースのように魅せる事を前面に押し出す派手さはないものの、事前に目を通した製品資料によると内部構造には複数の独自ギミックを用意し、決してオーソドックスとは言わせない、多くの見せ場が詰め込まれている。
手始めにメインとなる左側面からチェックを開始しよう。まず目に付くのは広いマザーボードトレイだ。E-ATX(285mm)にも対応するだけあって、特に右手前方方向へのスペースが広く確保されている事がわかる。そしてトレイ表面には出荷時より合計9本のスタンドオフが装着済み。うち真ん中の上・中段の2本はマザーボードの固定位置を決める段差付きスタンドオフだった。なおマザーボード搭載後の周辺クリアランスについては、後ほど計測してみよう。
本体下部にはボトムカバーが装備されている。Antecではこの部分を「PSU Shroud」と呼び、天板には2基の冷却ファンが標準装備。内部には主に電源ユニットとストレージ収納スペースに割り当てられている。
また左側面には通気孔仕様の「Steel Mesh Left Panel」を装備。上方向にスライドさせれば取り外しができるツールフリー仕様で、電源ユニットやケージタイプのドライブベイユニットへ左側からアクセスする事ができる。
さらに2基の冷却ファンが搭載されている天板部分も取り外しが可能。全てを取り外せば、フレームのみを残し、本体の下部は広く開放状態にできるのがFLUX PROの特徴でもある。
PSU Shroudに装着される天板とSteel Mesh Left Panelを外した開放状態。組み込み時やメンテナンス、増設作業が容易に行う事ができる |
PSU Shroud左側面を塞ぐメッシュ仕様のSteel Mesh Left Panelには「CPU/GPU DUAL TEMPERATURE DISPLAY」が標準装備されている。これはなにか。
左右ふたつのデジタル表示機能を備えたディスプレイには、GPUとCPUの温度が表示可能。トップパネル右手に装備する「Temp.Display Switch」を押す事で、(1)CPU&GPU温度表示、(2)CPU温度のみ表示、(3)GPU温度のみ表示、(4)消灯の4パターンからセレクトできるというもの。この表示をアクティブにするにはUSBケーブルをマザーボードに接続し、フリーのユーティリティソフトウェア「Antec iUnity software」をインストールする必要がある。
電源ユニットの搭載スペースはごく一般的なミドルタワーPCケース同様、PSU Shroud内部の後方に割り当てられている。しかしリアパネル側を見ると、通常開放されている搭載エリアが通気孔仕様のパネルで塞がれている事が分かる。さらに3pinインレットも搭載済みとなれば、何やら仕掛けが用意されていることが分かる。
通気孔仕様で3pinインレット付きのパネルは「PSU Side Mount Cover」と名付けられ、左右各1本のハンドスクリューでシャーシ側に固定されている |
FLUX PROの独自の仕掛けは、電源ユニットを通常の縦置きに加え、横置きにも対応する事でケーブルマネジメントを最適化できるというもの。特に横置き時の搭載スタイルは、電源ユニット側に搭載されるインレットの位置+方向により「PSU Type A」から「PSU Type D」まで4パターンに対応する。
近頃では本体側面にモジュラーコネクタを備える製品も存在するが、FLUX PROなら奥行き180mmまでの電源ユニットを横置きにして左側面からケーブルの抜き挿しができるというワケだ。