エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1484
2024.12.12 更新
文:編集部 池西 樹
ゲーム系ベンチマークのラストは、オープンワールド型アクションRPG「Cyberpunk 2077:Phantom Liberty」のゲーム内ベンチマーク結果を確認していこう。「クイックプリセット」は「レイトレーシング:ウルトラ」、「解像度スケーリング」はArc B580/Arc A750が「AMD FFX Super Resolution 3」、GeForce RTX 4060が「DLSS Super Resolution」、「AMD FFX Super Resolution」「DLSS Super Resolution」は「バランス」、「Frama Generation AMD FSR 3」「DLSS Frame Generation」は「オン」に設定し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類で計測を行っている。
Arc A750に比べるとフルHD解像度でも約47%、4K解像度では約77%も高いスコアで、アーキテクチャの刷新やメモリを増量した効果はかなり大きい。またGeForce RTX 4060との比較でもフルHD解像度やWQHD解像度で約20%、4K解像度では約40%上回り、これまでの結果と同じく高解像度環境ではArc B580の優位さが顕著になる。
続いて、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Steel Nomad Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
Arc B580/Arc A750はアイドル時でもメモリクロックが固定されているため、GeForce RTX 4060に比べると約20W高い。また高負荷時はArc A750に比べると約30W低く、ほぼTDP通りの結果になった。ただし、GeForce RTX 4060に比べると約80Wも高い数値で、電力効率の面ではGeForce RTX 4060に大きく差をつけられている。ミドルレンジクラスの製品では、性能だけでなく消費電力とのバランスも重要になるため、今後の製品では改善に期待したい。
テストセッションのラストは、「ASRock Intel Arc B580 Steel Legend 12GB OC」に搭載されているオリジナルトリプルファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。なおストレステストには消費電力テストと同じ「3DMark Steel Nomad Stress Test」を使用している。
GPU温度、メモリ温度とも最高64℃までしか上がらず、冷却性能はとても優秀だ。また冷却ファンの回転数は最高1,150rpm前後で、バラックでのテストでも風切音が気になることはなかった。
今回は最新ドライバがベンチマークテスト解禁の前日に提供されるなど日程的にタイトだったこともあり、従来よりテスト項目は控え目になっている。しかし、先代モデルArc A750からはいずれのテストでも大きくパフォーマンスが向上しており、Xe2アーキテクチャの素性の良さを感じることができた。
その一方で、「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」ではフレームレートが安定しなかったり、目玉機能である「XeSS FG」も現時点では対応ソフトが少なく「FSR 3」との差もあまりないなど、最適化には一部課題もある。こちらは今後のドライバの熟成に期待と言ったところだろう。
価格帯的にライバルになるGeForce RTX 4060との比較では、同等またはそれ以上のパフォーマンスを発揮している。消費電力が大きい点はマイナスだが、ミドルレンジながら12GBの大容量メモリを搭載しているのは大きなアピールポイントになる。さらに今後登場が予定されている上位モデルArc B700シリーズの性能にも期待ができそうだ。
そして今回検証に使用した「ASRock Intel Arc B580 Steel Legend 12GB OC」に目を向けると、ミドルレンジとしては大柄のため、小型のPCケースではクリアランスに注意する必要がある。しかし、その分冷却性能や静音性は優秀なことから、ミドルタワークラスのPCケースでゲーミングPCを構築する場合には良い選択肢になるだろう。
協力:ASRock Incorporation