エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1488
2024.12.23 更新
文:編集部 Tawashi/撮影:pepe
レビューの最後は、「MAG 276CXF」とゲーミングPCを使った実動インプレッションを実施。ゲームや動画を使って実際の映り具合を確認していく。動作検証にあたっては、Core i7-13700KFとGeForce RTX 4080を搭載するMSIのハイエンドゲーミングマシン「Aegis Ti5 13NUG-257JP」を用意。解像度はフルHDのため、十分すぎるスペックだ。
まずは夜景や「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」ベンチマーク、さらに「Apex Legends」や「フォートナイト」のプレイ画面を通して「MAG 276CXF」の映り具合を確認していく。中心からフレームの端までパネルの均一性は良好で、湾曲液晶にありがちな四隅が暗い、画質が低下するといったことはなかった。
視野角は178°と広いが湾曲タイプ液晶ディスプレイの特性上、角度をつけると輝度やコントラストの低下がやや目立つ。とはいえ、使用時は画面に対し中心に頭が入るようなポジションを取るため、気になることはほとんどないだろう。そして、画面端まで視界に収まるため、視線を変えずに画面全体の情報を把握できる。
PlayStation 5やXbox Series X/Sといったコンシューマゲーム機では、フルHD/120Hzの高速リフレッシュレートでの表示が可能だ。テスト動画ではPS5を使った「Apex Legends」や「フォートナイト」プレイ時の様子を撮影しているので参考にしていただきたい。なお、動作中の消費電力を計測したところ、アイドル時(リフレッシュレート60Hz/Windows起動後10分何もしていない状態)で28W、リフレッシュレート120Hzまたは280Hz環境でゲームをプレイした時は35Wだった。
続いて、実際のゲームで有用な補正機能のひとつ「ナイトビジョン」と「AI Vision」の効果を見ていこう。暗闇や夜といった暗いシーンの映像を見やすく補正してくれるもので、ゲーム中に薄暗い場面で見にくいアイテムを発見したり、敵との戦闘で役立ってくれる。設定は「オフ」と自動で効果を調整してくれる「A.I.」のほか、効果のレベルに応じて「通常」から「最も強い」の5段階から選択できる。
比較映像を見ると「オフ」では見にくかった暗いシーンが、機能を有効にすると通常/強い/最も強いの順に見やすくなっているのがわかる。検証に使用した「BIOHAZARD RE:4」は、暗い場所に設置されたアイテム(木箱)が見えにくいシーンが多々ある。視認性が悪い画面でのプレイは想像以上にストレスを感じるため、筆者は「最も強い」を設定している。
また、「ナイトビジョン」とは排他動作となるが「ナイトビジョン“強”設定では明る過ぎる」という人に試してもらいたいのが「AI Vision」だ。こちらはシーンに合わせて、暗い部分を明るくするだけでなく、全体の輝度とコントラスト(色の彩度)を向上させるというもの。実際にはわずかに彩度が強化されている印象を受ける程度ながら、夜など画面全体が暗いシーンでは活躍してくれる機能だ。
テストセッションの最後はリフレッシュレートチェックだ。テストでは、それぞれ60Hz/120Hz/240Hz/280Hz設定における違いを比較していく。できるだけ分かりやすく体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用。ディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
検証動画の通り、非常にわかりやすい結果となった。リフレッシュレートが高くなるにつれてより低残像でコマ送り感のない滑らかな描画を実現していることが分かる。240Hzよりもさらに高速な280Hzではその差わずか0.0006秒程度の違いだが、特に画面を注視するようなプレイスタイルでは280Hzの極めてスムースな描画が大きなアドバンテージを生む。ちなみに、RAPID VAパネル採用のため、60Hzの低リフレッシュレート環境でも、従来のVAパネルと比較して残像感が大きく抑制されていると感じた。PC、PS5だけではなくNintendo Switchでのプレイも安心だ。
湾曲液晶ディスプレイ最大のセールスポイントは、一般的なフラットタイプの液晶ディスプレイでは決して味わえない没入感だ。30型以上の大型モデルなど画面サイズが大きくなるに従ってその迫力は増していくが、27型の「MAG 276CXF」では程よい没入感を味わうことができる。加えて湾曲液晶ディスプレイではトップクラスとなるリフレッシュレート280Hzに対応するため、FPSはもちろん「FF XIV」のようなMMORPGや「モンスターハンターワイルズ」のようなハンティングアクション系などタイトルを問わずゲーム全般におすすめできる。また、わずかな視線移動で画面全体の情報を把握できるほか、目の疲れを軽減する効果も期待できるだろう。
最近の27型における解像度の主流はWQHD(2,560×1,440)になりつつあるが、「MAG 276CXF」ではゲーマー向けということでフルHD(1,920×1,080)を採用する点もポイントだ。必然的にPCに求められるマシンパワーも比較的低めとなるため、PC初心者から上級者まで扱いやすい。年末年始にゲーミング液晶ディスプレイの購入を検討しているなら、有力候補に加えてほしい1台だ。
提供:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社