エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1493
2025.01.06 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「B850 AORUS ELITE WIFI7 ICE」では、「Tweaker」タブの「TDP to 105W」を「Enabled」にすることで「TDP105Wモード」を有効化できる |
TDPが65Wと低めに設定されているRyzen 5 9600XやRyzen 7 9700Xでは、AMD公認のチューニング機能としてTDPを105Wにして電力制限を緩和する「TDP105Wモード」に対応している。そこでその効果を試してみることにした。
標準状態ではPPTは88W、TDC(CPU)は75A、EDC(CPU)は150Aに設定されている |
「TDP105Wモード」を有効にするとPPTは142W、TDC(CPU)は110A、EDC(CPU)は170Aへと引き上げられる |
シングルコアテストについては電力リミットの制限に引っかからないため、いずれのベンチマークでもスコアに差は出なかった。一方で、マルチコアテストは「TDP to 105W」を有効にすると6~8%パフォーマンスが向上している。レンダリングや動画のエンコードなどをする場合には、「TDP105Wモード」を有効に活用したい。また今回は全てのテストをDDR5-8000の設定で行っているが、一切不安定な挙動を示すことはなかった。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いて「TDP to 105W」を有効にした状態で「Cinebench 2024:10 minutes(Test Throttling)」による負荷テストを実行してみたが、Package Powerは130W前後で安定していた。MOSFETの温度も最高50℃で頭打ちになり、ヒートパイプを内蔵した大型ヒートシンクの冷却性能はとても優秀だ。
Ryzen 9000に合わせて発表されたAMD 800シリーズだが、チップセット自体の機能は正直AMD 600シリーズから大きく変わらない。一方で、メーカーの独自機能は大幅にブラッシュアップされている。特に最近のトレンドである利便性を追求した機能に魅力を感じる人は多いのではないだろうか。
そういったユーザーにとって、より手頃な価格で最新機能が使えるAMD B850チップセットマザーボードは嬉しい存在になるだろう。
そして今回の主役である「B850 AORUS ELITE WIFI7 ICE」に目を向けると、ツールレスのクイックリリース機構など利便性を追求した機能はほぼ全て網羅。さらに「TDP105Wモード」でもびくともしない堅牢設計の電源回路や、DDR5-8000でも安定動作する最適化したメモリ回路など、USB4が不要であればAMD X870マザーボードとの違いを感じることはほとんどない。
さらにAMD X870マザーボードとしては手頃だった「X870 AORUS ELITE WIFI7 ICE」よりもさらに安い、税込40,000円を切る価格設定も魅力の一つ。もちろんGIGABYTE「ICE」シリーズおなじみの、全身真っ白なカラーリングも継承されている。最新のRyzenを使いホワイトカラーのPCを組むのであれば、真っ先に検討したい製品だ。
提供:GIGABYTE TECHNOLOGY