エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1496
2025.01.17 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「MAG B860 TOMAHAWK WIFI」は、拡張スロットだけでなくM.2スロットもPCI Express 5.0に対応するため、10,000MB/sを超える高速なSSDを使用できる。そしてその放熱のため専用ヒートシンク「EZ M.2 Shield Frozr II」を実装しているが、どの程度冷却性能があるのか気になることころ。
そこで今回はCrucial「T700」シリーズの2TBモデル「CT2000T700SSD3JP」を使い、「CrystalDiskMark 8.0.6」をデータサイズ64GiB、テスト条件をNVMe、テスト回数5回にして、3回連続で実行する高負荷テストにて冷却性能を確かめてみることにした。
テスト1回目の「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果 | テスト3回目の「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
ハイエンドモデルのマザーボードに搭載されているヒートシンクに比べると小ぶりなこともあり、エアフローが全くない状態ではテスト1回目のランダム読込からSSD温度が80℃を超えてサーマルスロットリングが発生する。その後は転送速度が回復することはなく、3回目のテストではシーケンシャルアクセスは読込・書込とも5,000MB/s台まで落ち込んでしまう。
テスト1回目の「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果 | テスト3回目の「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いて、実際のPCケース内での運用を想定してマザーボードの右端から約50mmの場所に120mmファンを設置(回転数は約800rpmに固定)した状態でもテストを実施してみた。ほとんどファンからのノイズがない静音状態を維持しながら冷却性能は大幅に改善し、サーマルスロットリングによる速度低下も最小限に抑えることができている。フロントにケースファンを搭載した状態であれば、PCI Express 5.0(x4)接続のNVMe M.2 SSDを搭載した場合でも問題ないだろう。
「CLICK BIOS X」には、「Intel Default Settings」以外に3つのプリセットが用意され、簡単にPower Limitの設定を変更できる。そこで今回は、PL1=250W/PL2=295Wの「MSI Performance Settings」を選択してどの程度性能が変化するのか試してみることにした。なおパフォーマンスの検証には「CINEBENCH」系のベンチマークを使用している。
「Intel Default Settings」以外を選択するとシステムが不安定になる可能性があるという警告が表示される。今回の検証では、テスト中に不安定になることはなかったが、試す場合には自己責任になる |
シングルコアテストについては、「Intel Default Settings」でもPower Limitの制限を超えないため、いずれのテストでも結果に大きな違いは出なかった。またマルチコアテストでも「CINEBENCH R15」では、テスト時間が短くPL2動作の間にほぼ処理が完了するためその差は約2%とわずかだった。しかし、それ以外のテストではいずれも20%以上もパフォーマンスが向上した。あくまでも自己責任になるが、Non-KモデルのCPUを使用する場合は「MSI Performance Settings」によるPower Limitの設定によってマルチスレッド性能を大きく引き上げることができる。
アイドル時のサーモグラフィ | 高負荷時のサーモグラフィ |
「MSI Performance Settings」設定時の「Cinebench 2024:Minimum Test Duration:10 minutes」のPackage Powerを確認するとおおむね170W前後で、Core Ultra 7 265のMTPに近い値で推移していた。ちなみにMOSFETの温度は最高でも48.5℃で頭打ちになり、VRMヒートシンクの冷却性能は優秀だ。