エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1515
2025.03.05 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
![]() |
カードを分解してクーラーを分離させ、ヒートシンクと基板それぞれの構造をチェックしていく |
続いて「Radeon RX 9070 XT Taichi」を分解し、そのパフォーマンスを支えている大型の冷却機構「Taichi 3X冷却システム」を観察していく。重量は実にカードの70%以上にあたる1,104.5gに達していた。
迫力満点なヒートシンクは、GPUとの接触部に大型の銅製受熱ベースを採用。吸い上げた熱を合計8本ものウルトラフィットヒートパイプを通じて、巨大なヒートシンクの全域に移動させている。発熱の大きいGDDR6メモリチップもプレミアムサーマルパッドを介して受熱ベースに接触、主要な熱源すべてを効率よく冷却する設計だ。
またヒートシンクのフィンには、基板側に向けてV字型のカット形状と通気孔を設けたエアディフレクションフィンを採用。エアフローを熱源に向けて誘導するとともに、整流効果を高めて冷却効率を向上させている。
![]() |
「Taichi 3X冷却システム」を構成する重厚なヒートシンク。基板との接合部には補強用のプレートも備えている |
![]() |
実測での重さは1,104.5g。カード全体の重量のほとんどを占めている |
![]() |
GPUから熱を吸い上げる大型の銅製受熱ベース。GPUコア周辺のメモリチップともサーマルパッド越しに接触している |
![]() |
![]() |
電源回路のVRMモジュールもサーマルパッドを介してヒートシンクに接している |
![]() |
ヒートパイプ同士とベースプレートとの接触が最大化されているというウルトラフィットヒートパイプを採用。合計8本がヒートシンクを貫いている |
![]() |
基板の重量はバックプレート込みで332.5gだった |
TSMCの4nm N4Pプロセスで製造された「Radeon RX 9070 XT」は「Navi 48」を採用すると言われており、トランジスタ数は約539億個。Compute Unit 64基、ストリームプロセッサ数4,096基で構成されている。
「Radeon RX 9070 XT Taichi」の電源回路はSPS(Smart Power Stage)による16フェーズが搭載されており、各種コンポーネントも「プレミアム 100A パワーチョーク」などマザーボード製造のノウハウを活かした高耐久仕様だ。メモリはSK hynix製のGDDR6チップが合計8枚構成で実装されていた。
![]() |
普段の基板は身の丈以上のクーラーに覆われており、サイズはカード全体の2/3ほどにすぎない |
![]() |
RDNA 4アーキテクチャを採用する「Radeon RX 9070 XT」のGPUコア(Navi 48)。トランジスタ数は約539億個で、レイアクセラレータやAIアクセラレータ、共有メモリなどを組み合わせたCompute Unitを64基搭載している |
![]() |
![]() |
SK hynix製のGDDR6メモリチップ。合計8枚が実装され16GBを構成している |
![]() |
![]() |
SPSによる16フェーズ構成の堅牢な電源回路を搭載 |
![]() |
![]() |
電源回路を制御するPWMコントローラは、最大10フェーズに対応するMPS「MP2888A」が2基実装されていた | Radeonシリーズでは珍しい12V-2×6コネクタを採用。すぐ隣には、ARGB LEDストリップを接続できるピンヘッダを備えている |
![]() |
普段はバックプレートに覆われている基板の裏面。背の低いタンタルコンデンサが実装されている |
![]() |
カードの裏面すべてをカバーしているメタルバックプレート。GPUコア周囲のコンデンサとサーマルパッド越しに接触、放熱を助けている |