|「CNPS11X Performa」テストセッション
ひと通り「CNPS11X Perfprma」のチェックが完了したところで、肝心の冷却能力をテストしてみたい。今回もIntel Core i7-3930K」(SandyBridge-E)を用いたIntel X79 ExpressプラットフォームにてCPUおよびヒートシンクポイント別温度を計測する。なお数値は前回検証を行ったIntel「RTS2011AC」の計測結果を基準値として検証を進めていく。またこれまで通り、マザーボードはPCケースに組み込まないバラック状態でテストを行っている。
エルミタ的「一点突破」CPUクーラー編レギュレーション
CPUクーラー計測環境および計測方法
1.マザーボードはケースに組み込まない状態で計測する
(ケースファンなどケース内エアフローの影響を受けない状態で、できる限りCPUクーラー本来の性能を見る
2.マザーボードなどの各種設定はデフォルトのまま行う
3.CPUに100%負荷をかけ、計5回のテストを実行
4.騒音値は、ファンから30cmの距離で計測
5.高負荷状態はストレステストツール「OCCT 4.0.0」を使用
(アイドル時および高負荷時(100%/15分)の数値を計測)
7.CPU温度計測には「OCCT 4.0.0」を使用(全コア平均値)
6.ファン回転数は「SpeedFan 4.45」を使用 |
■参考モデル【Intel LGA2011用トップフロー「RTS2011AC」】
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アイドル時 |
高負荷時 |
2011年11月19日計測時
(19.6℃) |
45.0℃
(1,744rpm/37.6dBA) |
69.1℃
(2,860tpm/48.3dBA) |
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検証機材構成 |
CPU |
Intel「Core i7-3930K」
(Sandy Bridge-E/3.2GHz/TB時最大3.8GHz/TDP130W) |
マザーボード |
GIGABYTE「GA-X79-UD5」
(Intel X79 Express/ATX) |
メモリ |
CORSAIR「CMZ8GX3M4X1600C9」(2GB×4枚)
(PC3-12800/DDR3-1600MHz/CL=9-9-9-24) |
グラフィックスカード |
SAPPHIRE「HD 4350 256MB DDR2 PCIE HDMI LP」
(型番:11142-08-20R) |
SSD |
CORSAIR「CSSD-P3128GB2-BRKT」(128GB) |
光学ドライブ |
LG電子「GH24NS50」 |
電源ユニット |
CORSAIR「CMPSU-850AXJP」
(850W/80PLUS GOLD) |
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|CPU温度/騒音値/ファン回転数計測
ストレスツール「OCCT 4.0.0」による高負荷状況下とアイドル状態の温度計測結果は以下通りとなった。なおテスト時の室内温度は17.4℃、湿度69%だった。
■CPUコア温度テスト
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※縦軸=負荷状態 横軸=温度
室内温度:17.4℃ 湿度:69% |
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アイドル時30.0℃は、基準モデルIntel「RTS2011AC」の45.0℃に比べ、実に-15℃を計測。さらに高負荷時では64.0℃となり、同じくIntelの69.1℃に比べ-5.1℃という結果だった。片や実売2,000円を切るオーソドックスなトップフロー型CPUクーラーだけに、“階級違い”である事は差し引かなければならないが、TDP130WクラスとなるCPUの差としては非常に大きく、良好な数値と言えるだろう。次に騒音値を測定してみよう。
■騒音値テスト
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※縦軸=負荷状態 横軸=騒音値
室内騒音値:29.8dBA |
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アイドル時で33.1dBA、高負荷時で37.6dBAとなり上昇幅4.5dBAは数値上少ない。なおテストを行った室内騒音値は29.8dBAだったため、アイドル時の33.1dBAは十分静音レベルと言えるだろう。さらにPCケースに収めてしまえば、ほとんど気になることはない。ではファン回転数はどうだろう。
■ファン回転数テスト
「CNPS11X Performa」に搭載されている120mmファンの回転数は1,000〜1,600rpm±10%だ。テスト結果は949〜1,541rpmである事から、公称値通りの結果を得ることができた。
さて実際耳に聞こえる騒音レベルだが、回転数が高くなるにつれ、遠くでややガサついた音が発生するものの(正体はフィンの風切り音)、神経質になるようなレベルではなかった。さらにPCケースにしまい込めば、その音も軽減されるだろう。
|「CNPS11X Performa」ポイント別温度計測
次に行うのはヒートシンクのポイント別温度計測。高負荷状況下における熱の伝わり方、および「CNPS11X Perfortma」の特性を知ることができるはずだ。
なおこのテストはバラック状態でテストを行っているため、通常想定されるPCケースファンからの風による影響を受けることが無く、純粋にCPUクーラーの冷却能力がチェックできる。反面、PCケース内の熱からは解放されているため、テスト結果と実際に使用する環境とはある程度の差が出てしまう事は頭に入れておきたい。
計測の結果、最も温度が高い箇所は(10)のグラフィックスカード側ヒートシンク下部(ファン搭載側)で31.9℃。最も低い箇所はヒートシンクトップ部中央(5)の16.7℃だった。同一ヒートシンクでも場所によって温度差は15.2℃にも達するワケだ。
ここで気になるのは(5)のポイントが最も温度が低かった点。“V字型デュアルヒートシンク”の接点となる部分は、もう少し温度が上がるのではないかと予想していた。ただしその延長線上となる(8)と(11)は、CPUに近くなることで、(8)23.3℃、(11)27.9℃と、順調に(?)温度は高くなっていく。
また(3)22.7℃と(4)23.3℃は、同一フィン上ながら最低を計測した(5)よりも高く、ヒートパイプがその役割を果たしている事が分かる。この結果から「CNPS11X Performa」は比較的素直でバランスのよいヒートシンクと言えるだろう。
|ヒートシンクとエアフローのバランスが良好。
「CNPS11X Performa」はバランスのよいCPUクーラーだ。実際に上位モデル「CNPS11X Extreme」と比較をしたワケでは無いが、9,000円台の兄貴分に比べ実勢価格5,000円前後とコストパフォーマンスにも優れ、さらにテスト結果から良好な冷却パフォーマンスも証明された。まさにモデル名の“Performa”がマッチする。
実は当初、放熱面積を削る事になる“V字型デュアルヒートシンク”について、デザイン重視の設計ではないかと、やや懐疑的に見ていた。しかし実際にテストを進めてみると、ヒートシンクに対するエアフローのバランスもよく、静音動作と高い冷却効果で難なく仕事をこなす。SandyBridge-Eで使用するには十分なCPUクーラーと言えるだろう。また130Wクラスで実力を発揮する事から、Intel系のみならずAMD系でも安心して使用できるはずだ。
【静音性】 4.5ポイント
騒音値は33.1〜37.6dBと最大でも40dBAに達することは無かった。このレベルでは十分静音タイプと呼べるだろう。ただしファンが高回転になると、ややフィンの風切り音が出てくる。当たり前とはいえ、もしかすると「FET Cooling Airflow Guide」の影響があるのかもしれない。
【冷却性能】 4.5ポイント
基準モデルIntel「RTS2011AC」では70℃に迫るレベルで推移している事を考えると、TDP130Wで高負荷時平均64℃は悪くない。テスト中、極端に温度が上昇することも無く、常用使用(100%負荷状態が続くことは通常ない)ではまったく問題はないはずだ。
【取り付け易さ】 5.0ポイント
今回のテストではLGA2011に搭載したが、非常に楽だった。これは「CNPS11X Performa」の設計はもとより、バックプレートネジ留め式を採用したIntel側の“功績”とも言える。しかしその他ソケットでも煩雑な作業は必要とせず、至ってシンプル。マザーボードへの装着作業時はファンを取り外すことで、難なく行うことができるだろう。自重が軽い事の利点という側面もある。
【コストパフォーマンス】 4.5ポイント
上位の「CNPS11X Extreme」に比べれば、ポテンシャルの高い「CNPS11X Performa」は非常にお買い得に感じるだろう。静音性・冷却性能ともに問題は無く、さらに搭載が楽となれば満点だ。ただし欲を言えば、4,000円台前半から4,500円までの間に収まっていればなおよしと言ったところ。 |
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ZALMAN 「CNPS11X Performa」総合評価 |
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